たぶんモノを買うときに重視するのは、相性です。愛し合えるかどうか、そのモノと私が。それはいつも確かめていたくて、ヒマができると、家のモノを全部ひっくり返して、1つ1つを触るんですよ。ペンケースなんかも全部開けて、すべてのペンに触ってみる。そこで『このペンは私のところより、誰かのところにいたいのかしら』と思ったり。
相性が合わないモノは、なるべく捨てずに、相性の良い人に回していこうと思います。捨てる場合は、遊び道具にしてから捨てる。「これに、面白い画を描こう」とか友達と遊んでいるうちに、名残惜しくなることも」
今欲しいのは、マイ・ハンドスピナー
最後に、今、欲しいものを聞いた。
「健康な肉体(笑)。あとは、ずっとシュレッダーが欲しかったんですけど、それは買いました。銀行とかでシュレッダーすると楽しいじゃないですか。『これ、家でやったら気持ちいいんだろうな』と、ずっと狙っていたんです。
それから今は、おもちゃがほしいです。仲のいいカメラマンさんが、ハンドスピナーっていうクルクル回すおもちゃを持っていて……。え、あるんですか?」
NIKKEI STYLE編集部がたまたま持っていたハンドスピナーを渡すと。
「これです、これ(笑)。今、流行ってるんですよね? これ、回っているのをじーっと優雅に見ていると発散に良いらしくて(笑)。普通は手で回すだけなんですけど、こうやって、ヘンなことしても面白い(そう言って、ハンドスピナーを顎に乗せて回し始める)。
おもちゃって興味なかったんですけど、最近はポイ(ニュージーランド、マオリ族の儀式道具が起源とされる振り回すおもちゃ。ジャグリングにも使われる)とかホッピングとか、タイヤのついた靴なんかも気になっています。
そういうおもちゃのすごい人になって、大会に出られるようになりたい(笑)」
1985年、鹿児島県生まれ、沖縄県育ち。97年に音楽ユニット「Folder」でデビュー。その後、映画・ドラマ・舞台で活躍を続け、これまでに国内外で多くの演技賞を受賞。最近では、mondo grossoの楽曲「ラビリンス」にゲストボーカルで参加し、自身の出演するミュージックビデオも話題。映画『メアリと魔女の花』(声の出演)が17年7月8日から公開している。舞台『百鬼オペラ「羅生門」』が17年9月8日より渋谷Bunkamuraシアターコクーンにて上演。
『海辺の生と死』
昭和19年、12月。奄美のカゲロウ島で国民学校の教師をしている大平トエは、海軍特攻艇隊の隊長・朔(さく)中尉と出会う。惹かれ合った2人は逢瀬を重ねる間柄となるが、ついに朔が出撃する日がやってくる。 監督+脚本・越川道夫 原作・島尾ミホ(『海辺の生と死』中公文庫刊)、島尾敏雄(『島の果て』)ほか 出演・満島ひかり、永山絢斗、井之脇海、川瀬陽太、津嘉山正種 17年7月29日(土)テアトル新宿ほか全国順次ロードショー
(文 泊貴洋、写真 吉村永)