先輩たちの悪口にうんざり
脚本家、大石静
仕事が生きがいです。職場は男性が多く、周りのみんなもいい人です。働きやすい環境だと感謝しています。ただ、女性社員が私の他に3人いるのですが、いつも2対1で対立して、陰で悪口を言い合っています。私は悪口は言わない主義です。我慢はしていますが、間にいて悪口を何度も聞かされて、うんざりしています。でもみんな年上(50代以上)の方々なので口ごたえはできません。私はどういう心持ちでいればいいのでしょうか。(山形県・20代・女性)
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どういう心持ちでいればいいかと聞かれれば、すべてを許す心持ちになられることをおススメします。
先輩方の悪口合戦なんか、聞き流していればよいのではないですか。
職場は男性が多く、皆いい人たちで働きやすいなら、それ以上のことは望まない方がいいと思います。
望み過ぎれば、常に不満を感じますし、それが不幸の素となってしまいますから。
確かに、他人の悪口ばかり言っている先輩方はほめられた人たちではありませんが、あなたの質問文の裏側には、「50代以上」の先輩方に対する"蔑み"が感じられて、ちょっと寂しいです。
私は若く、悪口を決して言わない人間だが、先輩たちはなっていない。という趣旨は、そのまま先輩方の悪口になっていませんか?
「悪口を言わない主義」だと言い切るあなたの、形を変えた悪口になっていませんか?
自画自賛に、なっていませんか?
そういうことを自覚できないと、あなたはいずれ、先輩方と似たような、あるいはそれ以上にしょうもない50代になってしまうかもしれませんよ。
自己分析のできない人間は、他人も理解できず、思いやりも持てず、結局、人間関係において損をすると、私は思います。
どうか文句を言う前に、もう少し、自分の感情や行動を分析してみて下さい。
自分の未熟さに気づけばきっと、しょうもない先輩方も許せる気分になると思うのです。許せないまでも、悪口を聞き流せるようにはなるはずです。
しょせん人生はうんざり、がっかりの連続です。その中にちょこっとだけいいことがあるから、人はその小さないいことを救いに生きていけるのだと思います。
あなたには、たくさんのうんざりとがっかりを軽やかにかわして、ステキな人生を生きていただきたいと願います。
[NIKKEIプラス1 2017年7月22日付]
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