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一方、「長期的な摂取頻度」では、虚血性脳卒中についてのみ、リスク上昇が見られました。人工甘味料入りの炭酸飲料を全く飲まないグループに比べ、週に1~6回飲むグループの虚血性脳卒中のリスクは2.62倍、1日に1回以上では2.96倍になっていました。

1日1回以上飲む人では認知症リスクも上昇

認知症との関係では、人工甘味料入り炭酸飲料を1日に1回以上飲む人々において、明らかなリスク上昇が認められました。「最近の摂取頻度」が1日1回以上のグループでは、全く飲まないグループと比べ、認知症のリスクは、2.20倍で、このうちアルツハイマー病のリスクは2.53倍でした。「長期的な摂取頻度」が1日1回以上のグループでは、認知症のリスクは2.47倍、アルツハイマー病のリスクは2.89倍でした。

一方、すべての加糖飲料や、人工甘味料を含まない加糖炭酸飲料の摂取は、脳卒中、認知症のリスクに影響を及ぼしていませんでした。

人工甘味料の摂取と認知症の間をつなぐのは糖尿病?

この研究が行われた時点で、米国内で主に使用されていた人工甘味料は、サッカリン、アセスルファムK、アスパルテームでした。また、今回の研究は、砂糖または人工甘味料を添加したコーヒーや紅茶の摂取量は考慮していません。

著者らによると、人工甘味料入りの飲料を毎日摂取すると認知症やアルツハイマー病のリスクが上昇する可能性を示した研究は、これが初めてです。ただし、残念ながら、人工甘味料入り炭酸飲料の摂取がこれらのリスクの上昇をもたらす理由については、理解は進んでいません。

著者らは、人工甘味料の摂取と認知症の間をつなぐのは糖尿病かもしれないと考えて、その可能性について検討しました。糖尿病は認知症の危険因子であり、糖尿病患者は、より健康に良いのではないかと考えて、加糖飲料よりカロリーの低い人工甘味料入りの飲料を選ぶ傾向が強いからです。

そこで、糖尿病ではない人々に限定して同様の分析を行いましたが、人工甘味料の摂取と、認知症、アルツハイマー病のリスクの間には、上記と同様の関係が認められました。したがって、糖尿病以外の要因がリスク上昇に関係していると考えられました。

また、脳卒中の強力な危険因子である高血圧が、人工甘味料入り飲料の摂取と脳卒中発症に関係している可能性も考え、高血圧患者を除外して分析したところ、人工甘味料との関係は弱まったものの、引き続き虚血性脳卒中のリスク上昇が認められました。

先進国では、人工甘味料を添加した飲料の消費が増加していることから、なぜリスク上昇が起こるのかを明らかにする研究が必要だ、と著者らは述べています。

論文は、2017年4月20日付の「Stroke」誌電子版に掲載されています[注2]

[注2] Pase MP, et al. Stroke. 2017;48:00-00. DOI: 10.1161/STROKEAHA.116.016027.

大西淳子
医学ジャーナリスト。筑波大学(第二学群・生物学類・医生物学専攻)卒、同大学大学院博士課程(生物科学研究科・生物物理化学専攻)修了。理学博士。公益財団法人エイズ予防財団のリサーチ・レジデントを経てフリーライター、現在に至る。研究者や医療従事者向けの専門的な記事から、科学や健康に関する一般向けの読み物まで、幅広く執筆。

[日経Gooday 2017年6月23日付記事を再構成]

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