女性の理系人材の裾野を広げる環境づくりが進んでいる。大学は中高生向けのイベントや入学後の指導に工夫を凝らし、充実させる。「リケジョ」が当然の時代が、すぐそこに来るかもしれない。
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学生が前面に立って説明 青山学院大学のイベント
6月10日、青山学院大学相模原キャンパスの一室では9人の中高生が少し緊張した面持ちで座っていた。目の前には理系分野を学ぶ大学生たち。「1年生の時は金属を削ってこんなペン立てを作ったんですよ」。理工学部・機械創造工学科4年の鈴木春奈さん(21)ら3人の学生が、自ら学んできた内容を楽しげに紹介する。
中高生はその後、様々な実習設備を見て回った。時間がたつにつれて緊張は少しずつ薄れ、「入学してからアルバイトはできますか」「理系は就職では不利になりませんか」と先輩に次々と質問を投げかける。「みんな理系で学ぶことに色々な不安を抱えている。誤解をしている部分もあった。自分の体験を多く伝えられて良かった」と鈴木さんは笑顔を見せた。
この日のイベントには理系への進学を考える女子中高生や保護者、合計約200人が参加した。今年は初開催から6年目。狙いは若い世代と親に学生の声を伝えて、理系の学習や生活のイメージを膨らませてもらうことだ。
物理・数理学科3年の宍戸綾美さん(20)は中高生の親たちを前に、丁寧に説明した。特に質問が集中したのは受験勉強についてだ。「入試を乗り越えるには英語の勉強と夏の頑張りが特に大事です」と熱を込め語る。
青学大のイベントは教員だけでなく学生が前面に立って説明にあたる。研究室での活動、女性が少ない中で友人はつくれるか、就職活動の状況はどうか……。もともと理系は男性が多いためか、親も子も女性としての未来像に多くの不安を抱える。積極的に質問を投げ、熱心にノートにメモを取る父母の姿が目立つ。先輩学生の生の声は進学先を決めるにあたり大きな参考になりそうだ。