世界銀行の副総裁として途上国の貧困解消に尽力してきた西水美恵子さんと、日本初の全寮制インターナショナルスクールをつくった小林りんさん。社会を変えるリーダー育成に取り組む2人に、今求められるリーダーシップについて聞いた。(本文敬称略)
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日本初の全寮制インターナショナルスクールを開校 小林りんさん
――次世代リーダー育成に取り組むきっかけは。
小林 大学で開発経済を学び、外資系金融などを経て32歳でユニセフの職員としてフィリピンに赴任した。貧困層教育を担当したが、大きすぎる貧富の差や、まん延する汚職を前に社会を変えるリーダーの育成が必要だと強く思った。その後6年かけてリーダー育成のための学校の設立準備にあたり、2014年に全寮制高校「インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢(ISAK)」を開校した。7割が海外からの生徒。富裕層でなくても学べるよう返済不要の奨学金制度も整えた。
西水 世銀時代、いろいろな国で仕事をする中で、どんなリーダーが国を率いるかで未来が大きく変わると実感した。03年に退職後は、様々な国の官民リーダーのメンターを務めている。組織に変革をもたらそうとする人には「情熱だけでは物事は動かないので、賢くやりなさい」と助言する。会社を変えたいなら社長や部長を巻き込むなど「地ならし」に99%の力を使うべきだ。行動は最後の1%でいい。
小林 同感だ。学校をゼロからつくるにあたって感じたのは、対立の構図からは何も生まれないということ。多くの人を巻き込み一緒にやっていく努力が重要だと思う。