食品・飲料のヒット候補 ドライとボスが見過ごせない

日経トレンディ

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「たべるマスク」と大きくうたい、手軽な健康感と意外性で売れた「シールド乳酸菌タブレット」(森永製菓)。満を持して日本コカ・コーラが投入したトクホ「コカ・コーラ プラス」など、機能成分を加えて健康感を訴求する商品は、2017年上半期も引き続き強さを見せた。

グループの森永乳業が開発した「シールド乳酸菌」を配合した錠菓。パッケージにひときわ大きく「たべるマスク」とうたい、手軽な健康感とともにコピーの意外性が受けた

作りたての“生カレー”感覚がヒットに

その一方で、食品や飲料のおいしさを突き詰める方向に本質回帰し、次世代のレベル感を示した商品も目立つ。その代表が、ハウス食品が17年2月に発売した「きわだちカレー」。これは、固形ルウでもレトルトカレーでもない、新提案の濃縮ペーストルウだ。

きわだちカレーは、製法も味わいも“規格外”。これまでの固形ルウは粉末状の原料が中心だが、きわだちカレーはトマトやリンゴ果汁をたっぷり配合する。加えてレトルトカレーより低温で殺菌することで、素材やスパイスの複雑な風味、香りの豊かさが段違いに向上している。「目指したのは、高級店の作りたてのカレー。開発途中に、インスタント麺を劇的に進化させた『マルちゃん正麺』の大ヒットを目にし、味の追求に自信を持った」(同社の萩原祐樹チームマネージャー)と話す。

箱入りの固形ルウとの違いを出すため、スタンディングパウチを採用。レトルトカレーと間違える人もいたため、目立つ位置に「具材と煮込む」と入れた

なじみの我が家のカレーから切り替え、本格的な味をまず支持したのは中高年の子育て卒業世帯。17年4月からはコンビニへの展開も始まり、今後も加速度的にファンを増やしそうだ。

日本初の3層タイプチーズ、2倍の分厚さに大満足

具材をたくさん挟んで断面の美しさを 写真で見せる「萌え断」が、昨年インスタグラムで流行。その波にもうまく乗った

「フィラデルフィア 贅沢3層仕立ての濃厚クリーミーチーズ」はクリームチーズをコクのあるチェダーで挟んで3層にした日本初のスライスチーズ。通常のスライスチーズの2倍の厚さでたっぷりチーズの風味を楽しめ、サンドイッチに挟めば断面の3層がきれいに見えて写真栄えする。16年9月に登場するやSNSで話題を呼び、16年度下半期に発売されたチーズ新商品のなかで断トツの売り上げになった(森永乳業調べ)。

ロングセラーの新展開がブレイク候補に

17年下半期にかけては、ロングセラーの新展開が見過ごせない。例えばアサヒビールの「スーパードライ」は、30周年の限定商品として「瞬冷辛口」を5月末に発売。希少ホップのポラリスを使うとともに、ビールのキレ味を高めたことで、爽やかな冷涼感が得られる。ごくごく飲めるスーパードライの良さを、さらに一歩進めた新提案で、夏場の最盛期の販売を底上げする狙いだ。

販売目標は70万ケースと控えめだが、上回りそうだ

また、サントリー食品インターナショナルの「ボス」は、発売25周年。4月に同社初のペットボトル入りコーヒー「クラフトボス」を発売した。ガラス瓶を模した手作り感のあるおしゃれな500mLボトルで、中身のコーヒーは苦味が少なく、さっぱり飲める。ターゲットは、IT企業などの長時間のデスクワークが多い、“現代のブルーワーカー”だ。「デジタルストレスを抱える彼らは、人のぬくもり感を求めており、それを表現したのが新容器。あえて中身を見せることでコンビニコーヒーのようなフレッシュ感も出した」(食品事業本部の大塚匠課長)という。

ボスマークのエンボス加工を施し、ガラス瓶をイメージした容器で、安っぽさはない。ラテは甘過ぎず、すっきりとした味わい

発売2週間の出足は、同社の想定を上回るペースで推移しており、6月にはラテタイプも追加される。従来のショート缶やボトル缶に次ぐ、第3の定番コーヒーに名乗りを上げそうだ。

縦型カップ麺にゆっくり食べやすい新提案

日清食品「カップヌードル」の牙城だった縦型カップ麺市場に切り込む、東洋水産の超大型商品がQTTA(クッタ)。王道のしょうゆ、シーフード味に加え、競合が少ない豚骨味を用意した。いずれも独自製法の麺で伸びにくく、スープが最後まで残っておいしく飲める。カップ麺をゆっくり食べて一息つくシーンを訴求し、喫食率が比較的低い10~20代の開拓を狙う。縦型カップ麺市場の10%を握る年間140億円の出荷目標が射程圏内に。

新容器は底に向かうにつれて四角い形になっており、食べるときに持ちやすい

待望の大本命トクホコーラ

日本コカ・コーラの「コカ・コーラ プラス」は特定保健用食品(トクホ)初のコーラとして一世を風靡した「キリン メッツ コーラ」や「サントリー ペプシスペシャル」に遅れること5年。大本命の日本コカ・コーラが繰り出したトクホコーラ。先行の2品と健康成分は変わらないが、圧倒的な待望感を追い風に初速は好調。

初速は好調

一番搾り麦汁でノンアル再挑戦

世界初の0.00%ノンアルビール「キリン フリー」の販売が低迷するなか、キリンビールが次の一手として打ち出したのが、零ICHI(ゼロイチ)。主力ビール「一番搾り」と同じく、麦汁のろ過工程で流れ出る一番搾り麦汁を使用。麦のうまみをしっかり感じられ、よりビールに近い味わいになった。販売目標は約140万ケースと少なめだが、出足好調。

自分に最適な一杯が判明、栄養素入り抹茶の新習慣

ネスレ日本の「ネスレ ウェルネス アンバサダー」は、コーヒーマシンの「ドルチェグスト」などを無料で借り、不足しがちな食物繊維やビタミンなどの栄養素入りの抹茶を自宅で手軽に飲める新サービス。専用サイトで食生活の質問に答えたり、食事の画像データを送信することで、7種類の抹茶カプセルから自分に最適なものが推奨されるのが斬新。抹茶は緑茶の約2倍のポリフェノールを含んでおり、健康を気にする中高年に響きそうだ。

足りない栄養素を補える新領域のサービス

(日経トレンディ編集部)

[日経トレンディ2017年6月号の記事を再構成]

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