「2度目の起業も」 79歳の元住銀副頭取、夢に挑むエリーパワー社長の吉田博一氏に聞く

「起業して10年。リスクの連続でしたね。銀行時代は大変だったし、努力はしたけど、こんな大きなリスクを自分で背負う経験はなかった」と振り返る。

しかし、一言こういう。「夢がなくなると、人はダメになる」。銀行時代の同僚たちは出世した人ほど、引退後は無気力になったようにみえる人がいるという。目標を失うと、がんばっていた人ほど反動が大きくなることは少なくない。

真向法で体力づくり、もう一度起業も

「夢がなくなると、人はダメになる」

エリーパワーには定年制はないという。「若い人の得意領域もあれば、例えば、組織づくりなど年配者の経験を生かした仕事もあるから。それに人によって体力とか、精神力とか違うのに、60歳で定年なんてむしろおかしいでしょ」と語る。

ただ、年配者の場合、いくら精神的に意欲があっても体力的にはつらくなる。吉田氏は「真向法」と呼ぶストレッチ運動を毎日、1日3回、それぞれ20分間、どんな時でも実行する。さらに腕立て伏せ、腹筋、スクワットを繰り返す。

「実はもう一回ぐらい、2度目の起業もいいかなと思っています」と明かす。今、具体的な計画があるわけではないが、「常に、次があるぞ、あるぞ、と思っていないと、いい仕事なんてできないでしょう」。いつも詩人のサミュエル・ウルマンの「青春の詩」を口ずさむという。その一節には「年を重ねただけで人は老いない」とある。今年9月に80歳を迎える吉田氏だが、“サードキャリア”に挑戦する意欲も満々だ。

「今も吉田さんは休日出勤もいとわず、会社の誰よりも働いている」とエリーパワー関係者は明かす。その存在は1つの会社で院政を敷く「老害経営者」とは一線を画す。『人生100年』といわれる時代。79歳の起業家の挑戦はなおも続きそうだ。

吉田博一
麻布高校を経て慶大法卒、住友銀行(現三井住友銀行)入行。1996年副頭取。三井住友銀リース(現三井住友ファイナンス&リース)社長、慶大院政策メディア研究科教授などを歴任して、2006年にエリーパワーを創業した。東京都出身。79歳。

(代慶達也)

燃えない電池に挑む! 69歳からの起業家・吉田博一

著者 : 竹田 忍
出版 : 日本経済新聞出版社
価格 : 1,836円 (税込み)

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