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「2度目の起業も」 79歳の元住銀副頭取、夢に挑む エリーパワー社長の吉田博一氏に聞く

2017/5/17

 「EVは未来の車だ」。そう確信した吉田氏は慶応大学の教授に就任し、同プロジェクトの統括責任者になった。開発の最大の課題が資金集めだった。

エリーパワーは高性能な電池を製造している

 「1日90件のお客さんを回った。資金を集めるのなら自分でもできる。いや、こんな難しい資金集めは自分でないとできないだろう」。もとは金融マンの吉田氏だが、ものづくりは日本の基幹だという信念もあった。EVのキーデバイスはもちろん電池。安全なリチウムイオン電池の開発が求められていたが、当時は鉛電池が主体。高価なリチウムイオン電池の開発に大手メーカーはいずれも及び腰だった。

■起業に家族は猛反対、古巣にも頼らず

 「じゃ、我々で起業しよう」と仲間4人で立ち上がった。家族は「なぜ、そんなリスクを」と猛反対した。ただ、起業したいという衝動はとめられなかった。

 住銀副頭取まで務めた吉田氏。だが「古巣に迷惑をかけるようじゃ本物になれない」と住銀に融資や出資など金融面での支援は一切頼まなかった。69歳の元副頭取は一軒一軒、企業を回って自社のリチウムイオン電池の優位性をアピールした。

 大和ハウス工業などの出資を受け、住宅向けに同社製電池の導入が始まって事業は軌道に乗った。出資元は現在31社に上り、ホンダのバイクにも採用が決まった。

 現在、エリーパワーは安全性の高い大型蓄電池の開発・生産に力を注ぐ。滋賀県の研究所に頻繁に通う。「最先端の電池の話が理解できるかって? いや面白いです。僕の方からも情報を入手してどんどん技術者に投げかけている」と話す。2011年の東日本大震災の影響で大型蓄電池の需要が高まった。従業員は現在約360人、株式上場をにらむ規模に成長した。

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