麻布の「意志の集約」の冒頭には、「生徒の自主活動は基本的に自由である」とうたわれている。細かい校則はないけれど、この自由の精神がいわば憲法のような形で生徒・教員の意識を規定し、尊重されているのだという。服装や髪型など、外面的なものに多くの人の目は行きがちだが、麻布ではむしろ一人ひとりの内面の自由、精神の自由を大切にしているのだという。

文化祭、2割は髪を染める

麻布中学・高校の平秀明校長

麻布名物の文化祭では2割ほどの生徒が髪を染めるという。今年は5月2日から3日間開催される。毎年約2万人の来場者があるが、「見学に訪れた小学生は最初はこわがるが、派手な格好の生徒も意外とやさしく接して説明や案内などをしてくれるのでその落差に驚かされる」という。

それにしても自由闊達な雰囲気の麻布。これほど多種多様な人材を輩出し続けた進学校も珍しい。橋本龍太郎、福田康夫の両元首相も卒業生である。だが、麻布生の特徴はこの文化祭にこそ垣間見ることができる。奇抜な格好をしていても、文化祭スタッフの生徒たちは委員長、会計局長、行事部門長、展示部門長、統制部門長などまるで国の組織のような役割を担っている。彼らは生徒による選挙によって選ばれ、文化祭の運営全般を任されている。

生徒が学校行事のすべてを管理

「実は麻布は、文化祭や運動会など学校行事は生徒がすべてを仕切っている。自治権が確立されています」と平校長は話す。意外なことに麻布には生徒会というものがなく、5つの自治機関が並列に存在し、生徒が運営・管理している。核となるのは予算委員会で、ほかに選挙管理委員会やサークル連合、文化祭実行委員会、運動会実行委員会があり、それぞれに代表者がいる。

数百万円の予算で運営される文化祭だが、「不明金が出れば徹底的に調査したり、雨天等で飲食の売り上げが目標に達しなかった場合は、予算委員会と話し合い、赤字を補てんしてもらうなどの判断もすべて生徒がやる。教師は報告は受けるが、特別なケース以外は介入しない」という。

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