その研究によると、低糖質食グループの人は、スタート後、約半年でぐっと体重が減ったが、その後にリバウンドする傾向が高かった。また、低脂肪食は低糖質食の人よりも体重が減らず、しかもリバウンドしてしまう傾向がみられた。これらに比べて、地中海食を続けた人は、約1年かけて徐々に体重が減った後、その体重をほぼ保つことができ、リバウンドが少なかった。
横山院長は、「糖質や脂肪を減らした低糖質食や低脂肪食は、オリーブオイルを多く使う地中海食に比べて満足感が少ないために続けることが難しく、リバウンドにつながってしまったのではないか」と分析する。
さらに、過去に心筋梗塞を起こした人たちを2つのグループに分け、一方に通常の食事を、もう一方に地中海食を4年間食べ続けてもらった研究では、地中海食が明らかに心筋梗塞の再発を抑えることが分かった[注3]。オリーブオイルを使った地中海食は、このように多くの研究がなされ、その健康効果が実証されている。
[注3]de Lorgeril M et al. Circulation. 1999; 99: 779-85.
いつもの油をオリーブオイルに!
地中海食は豆類、野菜類、魚介類などの食材を豊富に使い、日本で普段の食事に利用されている食材と共通するものが多いので、いつも食べている料理にオリーブオイルを加えたり、調理油をオリーブオイルに替えるだけで、簡単に取り入れることができる。さらに、「玄米や京野菜のような日本的な食材との相性も抜群」と横山院長は言う。オリーブオイルには多くの商品があり、スーパーマーケットでもコンビニエンスストアでも購入できるので、積極的に利用してみてはどうだろうか。
横山淳一さん
オリーヴァ内科クリニック院長、医学博士。千葉大学医学部卒業後、東京慈恵会医科大学内科学教授を経て現職。日本糖尿病学会認定糖尿病専門医・指導医、日本内分泌学会認定内分泌代謝科専門医。イタリアの料理・文化に造詣が深く、地中海食についてテレビ番組、新聞などで分かりやすく紹介している。「炭水化物を食べながらやせられる! 地中海式世界最強の健康ダイエット」(SBクリエイティブ)など著書多数。

(ライター 芦部洋子)