「副業、アバウトに始めていいじゃない」ロート会長ロート製薬会長兼CEOの山田邦雄氏

――兼業の実績とか、会社側のメリットは出ていますか。

 「今、急にというのはないが、やはりアンテナが広がれば新しいアイデアや、こんな面白い人と知り合った、というのが出てくると思う。兼業の他にも『社内ダブルジョブ』という制度がある。普段は工場で品質管理を担当しているが、再生医療の研究の一部にも参画したい、という例とかね。普通の会社は関連分野を兼務している人は多いでしょうが、全く違う分野の仕事を兼業でやるわけです。社内のほうが人数的には少し多いかな。社内のダブルワークであれば、もう少し調整やサポートもしやすいですからね」

「いずれにしても一人ひとりの仕事の幅を広げてもらいたい、という流れはかなりできつつある。シングルキャリアだと成長に時間もかかるが、兼業であればいろんな仕事ができる。一方がサブでもう一方がメーン、というわけではなく、これからは複数の業務をやる時代ではないだろうか」

会社は「道具」

――山田会長の考える理想の、働きやすい会社とは。

「やっぱり、本当の意味の働きがい。役割をただこなし、給与をもらってハッピー、というのではなく、自分で仕事を作り出すこと。当然、そういう風に仕事するほうがしんどいに決まっている。けれど、やり遂げれば結果的に本当の意味での力がつく。そのなかでうちを卒業してもらって、復興支援だったり、ベンチャーを作ったりする人材が育つ会社になればいいなと」

――ロートを卒業するというか、辞めてもいいのですか。

「うちは比較的、定着率はいいほうだと思うが、殻が小さくなったから出て行く、というのは仕方がないし、いいんじゃないかな。逆に家族の海外転勤でやめたけれど、帰国したからまた復帰、というような『出戻り』の社員もうちは多い。会社は道具だから、社員は自由に活用してくれたらいいと思う。そうすればアウトプットも出ると思う」

「囲い込んで組織を強化していくやり方もあるが、人が循環するなかで育つモデルもあるんやろうな、と思っている。ただほっておくとバラバラになってしまうからと精神的な支えとしてCIもつくったわけです。だけど、今の時代は囲い込み型はしんどいんじゃないですかね」

山田邦雄氏
1956年大阪府生まれ、灘高校を経て東京大学理学部を卒業。80年、曽祖父が創業したロート製薬に入社。99年社長、2009年から現職。

(松本千恵)

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