2017/4/4

リーダーのマネジメント論

「同時に、若手中心にもっと新しい働き方を考えよう、という機運も高まっていた。時短や遠隔勤務とか、いろいろ案はあったけど、そのなかで『少し社外の仕事もできたら面白いね』という声が出てきた。会社としても、これからはそういう方向かな、と思ってドアを開けてみた、という感じ。実は、CIを考えることがメーンだったのだけど、副業のほうが有名になっちゃった。世間的に注目を浴びるなんて思っていなかった(笑)」

昔はもっと「副業」あったはず

――世間の反応をどう見ていますか。

被災した石巻市雄勝の小学校跡地で開かれた運動会。ロート製薬の社員も雄勝に何度も訪れている(2014年10月)

「政府が(副業の)論議をされているのもまったく知らなくて。ただ、そういう発想が出てきてもおかしくないですよね。今までの枠組みでは社会と適合しない、というのが、世の中のコンセンサスまではいかないけど、気づきとしてあったと思う。上場企業の社長さんは7割が副業に反対や、という調査があった。逆に、3割はやってもいいんやないと考えている。そういうことを思っている人は結構いるんだなと思った」

「以前からリクルートは副業を認めているし、芥川賞作家の開高健さんなんてサントリーに勤めていたわけだから、昔から元祖はいっぱいいる。今はなんとなく副業なんてNG、となっているが、昭和の頃はもっとアバウトだったんだろうね。確かに、就業規則、コンプライアンス、守秘義務など、厳しくなってくれば、壁を作っておかなければ、という方向に向かってしまうよね」

■制度は「アバウト」

――「社外チャレンジワーク」というのは具体的にどのような制度なのですか。申請にあたり、条件はあるのですか。

「こんなの制度として作るにしても、今までやったこともないしね。ドアをあけたから、やりたい人からやりたいことやってみて、というくらい。やるうちに問題も出てくるかもしれないし、仕組みは後から整えるしかできない」

「だから制度は、と聞かれても非常にアバウトで。社会人経験が3年目以降ということと、仕事とまったく関係なくてもいいが、何をするのか教えて、ということ。新人で入っていきなり副業したいといわれても、そりゃないやろ、と(笑)。3年生くらいになれば余裕も出てくる。ほかは、まあ一応規定の時間はロートに来てね、くらいですかね。うちが週3、4日、向こうは2日とかになれば本当の副業になるんだろうけど、まずやってみていい意義があるな、ということになってからかな。今はまだやってみてもらっている、という段階」

――「社外チャレンジワーク」に手をあげたメンバーは実際にどんな副業をしているのでしょうか。

「うちは製薬企業なので、薬剤師免許を持っている人がいる。しかし、入社してから一度も免許を使ったことがないので、一度薬剤師としての業務をやってみたい、と週末にドラッグストアや調剤薬局で働いている人がいる。30~40人ほど手を上げて、半分くらいは続いているね。あとは自分の出身地を応援する仕事をしたい、とか。なかには、両立が難しかったとか、うまく仕事が見つからなかった人もいるようだけど」

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