正解は、(2)ケミカルメディエーター遊離抑制薬 です。
花粉症は、花粉を「アレルゲン」とするアレルギー性鼻炎・結膜炎のことです。アレルゲンとは、体から「異物」とみなされ、アレルギー症状を引き起こす原因となる物質のこと。アレルギー症状、つまりくしゃみや鼻水、鼻詰まりという鼻炎症状や、目のかゆみや充血といった結膜炎症状は、体内に侵入した異物を攻撃したり、体の外に追い出すための反応として起こります。
花粉などのアレルゲンが体内に侵入し、免疫反応を担う「肥満細胞」の表面にあるセンサー(アレルゲンへの抗体:IgE)に結合すると、「ケミカルメディエーター」という物質が放出されます。このケミカルメディエーターの働きで、かゆみや充血、涙を出させるといった反応が引き起こされ、アレルゲンが体の外に追い出されるのです。

アレルギー性結膜炎のうち、例えばスギ花粉が飛ぶ春だけ症状が表れるなど、特定の時期に発症するものは「季節性アレルギー性結膜炎」と呼ばれます。花粉症は、季節性アレルギー性結膜炎の代表格です。一方、季節に関係なく一年を通して目のかゆみなどの症状が続く場合は「通年性アレルギー性結膜炎」です。通年性アレルギー性結膜炎の主な原因は、ハウスダスト(家の中のほこり)といわれています。日本眼科医会によると、アレルギー性結膜炎の患者数は約2000万人で、その大半が花粉による季節性アレルギー性結膜炎だとしています。
季節性と通年性のどちらであっても、アレルギー性結膜炎の治療には、次の3種類の目薬を症状に合わせて使い分けます。ヒスタミン拮抗(きっこう)薬の点眼薬、ケミカルメディエーター遊離(ゆうり)抑制薬の点眼薬と、ステロイド点眼薬です。
ケミカルメディエーター遊離抑制薬は、花粉飛散前から使用
この3種類のうち、効果が表れるのに最も時間がかかるのが、ケミカルメディエーター遊離抑制薬です。肥満細胞からケミカルメディエーターが放出されるのを抑えることで、アレルギー症状を和らげますが、効果が出るまでに2週間ほどかかるといわれています。そのため、花粉がまだ飛んでおらず、症状が出ていないころから使い始めるとよいとされています。
ヒスタミン拮抗薬とステロイド点眼薬は「即効性」あり
一方、ヒスタミン拮抗薬の点眼薬とステロイド点眼薬は、どちらも即効性がありますが、作用のメカニズムや使い方は違ってきます。
ヒスタミンは、目のかゆみや充血などのアレルギー症状を引き起こすケミカルメディエーターの1つです。ヒスタミン拮抗薬は、ヒスタミンの働きをじゃまするように作用します。作用には即効性があるので、既にかゆみや充血といった症状が出ていて、それらを速やかに改善させたいときに使用します。
そして、ステロイド点眼薬は、ヒスタミン拮抗薬やケミカルメディエーター遊離抑制薬を使っても十分に症状が治まらない場合に使います。強力にアレルギー反応を抑える一方で、眼圧上昇といった副作用の危険性もあるため、症状がひどいときだけの使用にとどめ、多用はしないことが大切です。
(日経Gooday編集部)
[日経Gooday 2017年3月6日付記事を再構成]