イトマン事件と住友銀行のかかわりを回顧した当時の幹部社員による『住友銀行秘史』、同時期に取材者、編集者としてかかわった経済記者による回顧的検証本『バブル 日本迷走の原点』や『住友銀行暗黒史』、当時の日銀マンによる回顧録『バブルと生きた男』と、昨年秋からバブル期の回顧本の出版が相次ぐ。本書も同じ流れに属する。

当事者による回顧という点で、版元も同じ『住友銀行秘史』と作りは良く似ている。『住友銀行秘史』がイトマン事件への銀行の対応というところに集中していくのに対して、こちらのテーマは野村の営業手法であり、まさに最前線の営業マンがどう株や債券を顧客企業に買わせ、手数料収入を上げていくかというところに焦点が当たる。

『住友銀行秘史』に迫る初速

営業成績の悪い社員の妻まで会社に呼び出して「こいつのために、みんなが迷惑してるんです。奥さん、どうにかしてください」と言い放つ上司。運用損を知らせないため客に郵送される運用報告書をポストで待ち受け内緒で破り捨てるといった、めちゃくちゃな支店営業の実態から始まり、花形部署の第2事業法人部でのコミッション(手数料)を稼ぐためのえげつない取引手法や担当企業との化かし合い……。バブルとバブル後の時代の空気が生々しい。

「先週半ばに入荷して3日で驚くほど売れた。『住友銀行秘史』のときに迫る勢い」とビジネス書を担当する西山崇之さんは話す。金融街、大手町らしい反応だ。ビジネス書コーナーにタワー状にディスプレーして平積みしたほか、金融関係の書棚脇の平台は先にあげた4冊と並べてバブル回顧本コーナーにする力の入れようだ。

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