「世界と勝負できる知識が何もない」自分と向き合う

2011年11月、MITスローン・フェローズ・プログラムに願書を提出し、インタビューを受けて合格。通常2年間で学ぶMBA(経営学修士)のプログラムを1年間に短縮したもので、同じ年、世界34カ国から120人が集まってきていました。

北米からはもちろんのこと、南米やヨーロッパ、アジア、アフリカからも学生たちが来ていました。日本人は13人いましたが、「みんなの前では英語を話そうね」と約束し、基本的には英語漬けの毎日を送りました。

語学の問題はやはりしんどくて、聞き取れないと、すごく落ち込みました。友達がパーティーに誘われているのに、自分だけ誘われていないと知るとショックを受けたりもしました。最初の3カ月間くらいは、かなりきつかったですね。

「ありのままを見せよう」と吹っ切れたら、コミュニティーにも入れるようになった

かっこいいことを話さなければと思って身構えていたために、何もしゃべれなかった。しばらくすると慣れてきて、吹っ切れました。「もういいや、私は自分以上でも自分以下でもない。ありのままを見せよう」と。そこからは、留学生同士のコミュニティーにも入れるようになりました。

MITに行ってみて、それまで自分がいかに言葉でごまかしてきたのかも痛感しました。本当はよくわかっていないのに、日本語だとなんとかごまかせてしまうことも、英語だとごまかせない。会社では当時、課長の役職も付いていましたが、素のままの自分に立ち返ったら、勝負できる知識が何もないということにも気がつきました。

韓国から来た留学生と大げんかした

留学中はよく、プログラムオフィスから「Get out of your comfort zone.MIT」と言われていました。快適なところから抜け出しなさい、と。これまでにしたことのないチャレンジをしよう、と1年間必死でもがきました。入学前からチャレンジしたいと思っていたビジネスプランコンペにインド人、アメリカ人のクラスメートと応募したのも、その一つです。

インド人は男性、アメリカ人は女性でした。話し合いをしていると、2人は「早く投資家のところへ行こうよ」と言う。私は「それよりも、まずはちゃんとスケジュールを立てようよ」と思ってしまう。

お国柄に関しては、お互いにいいところもあり、悪いところもあり、という感じだと思います。そういう意味では、国内にいたらわからない日本人の良さも、再認識できました。何かイベントをするのでも、必ず期間内に最高の状態で実現できるのは日本人だと思われていましたから。

そう言えば、留学中に韓国人の女性と大げんかしたこともありましたね。原因は、ほんのささいなこと。クラスでリーダーシップを発揮した人を表彰しようという話になった時、2人ともその選定委員だったのですが、どうしても意見が合わなかったのです。

表彰する際、賞状と一緒にトロフィーをあげるか・あげないかという、たわいのない話で、私は「トロフィーなんていらない」派、彼女は「いる派」。

最初は無視されているような感じだったため、英語で一生懸命自分の意見を書いて、彼女にメールを送りました。面と向かって「どうして私の意見を聞いてくれないのか」と強い口調で言いました。最初は否定していた彼女も、そのうちに「いや、じつは……」と応じてくれるようになり、「会社でもチームメンバーから同じような批判を受けたことがあった」と、本音で話をしてくれるようになりました。

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