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肉料理とワインのペアリング プラスαの食材で味一変 ワインと料理のペアリングマジック(上)

2017/2/3

PIXTA

ワインと料理のペアリングがうまくいくことを「マリアージュ(結婚)」というように、ワインと料理の関係は、男女の関係に似ている。けんかもすれば、お互いの良さを引き出してくれることもある。

「いいペアリングでは、料理とワインが口の中で合体し、単体では感じ取れなかった要素が感じられるようになります」と教えてくれたのは、フードアンドワインスペシャリストの小枝絵麻さん。カリフォルニアで料理の大学を卒業し、現在はカリフォルニアワインの名産地ナパバレーの生産者団体の日本代表を務めている。料理とワイン両方のエキスパートだ。今回はナパバレーから15のワイナリー生産者が来日したのに合わせ開催されたイベントのひとつ、「ナパバレーワインと肉料理の相性を探る」セミナーでワインと料理のペアリングを指南した。

フードアンドワインスペシャリストの小枝絵麻さん

セミナーでは、焼き鳥・ハンバーグ・牛カツ・焼肉という、日本の代表的な肉料理に8種類の異なるタイプのナパバレーのワインを合わせた。

4種類の肉料理に8種類のワインをペアリングした

ペアリングを考える上でまず重要なのは、料理とワインの重さのバランスを合わせることだと小枝さんはいう。料理の重さは、ベースとなる食材・調理法・味付けで決まる。肉料理でいうと、食材は鶏モモ(焼き鳥)、合びき肉(ハンバーグ)、牛(牛カツ)、脂身のある牛(焼肉)の順に重くなり、調理法はグリル、鉄板、揚げ、炭火焼きの順に重くなる。重くなるほど、よりどっしりとしたワインが合いやすくなる。

ふたつ目のポイントは、味付けプラスαの部分だ。今回のセミナーでは特にこちらに注目だ。

焼き鳥でいうと、塩よりタレのほうが重い。塩の焼き鳥はライトボディーの辛口白ワインにも合うが、タレならミディアムボディーの赤ワインのほうが合う。ここで、焼き鳥(塩)にゆずをちょっと足してから先ほどと同じ白ワインを味わうと、ライムやレモンの香りが強調され、ワインが生き返ったようにフレッシュになる。さらに余韻が伸び、隠れていたハーブや白コショウの香りまで感じられるようになった。

このプラスαの食材のことを、小枝さんはワインと料理の橋渡し役「ブリッジ食材」だと教えてくれた。ブリッジ食材こそがワインと料理とを結びつけるキーポイントで、それが加わることで「隠れているワインのアロマを引き出して、イマイチなペアリングが良いペアリングに変わる」のだという。

ブリッジ食材がメインの食材とワインの両方の引き立て役になる

例えばハンバーグとデミグラスソースは赤ワインには当然合うが、しょうゆであっさり食べたい人もいるだろう。和風ハンバーグをミディアムボディーの果実味のしっかりした赤ワインと合わせるときに、「ブリッジ食材」として万能ネギやフェンネルを加えると、ワインのハーブやスパイスのアロマが引き出され、口のなかでの清涼感が増す。しょうゆは、ふつうのしょうゆではなく発酵期間が長い「たまりしょうゆ」を使うと、お肉のうま味がより感じられるようになり、相性がいい。さらに赤ワインを煮切ったものを加えると、酸味がプラスされ、奥行きのあるマリアージュになる。

12種類の調味料をブリッジ食材として使った

ブリッジ食材を選ぶコツは、ワインの香りや味わいと共通する要素があるものを選ぶこと。かんきつ系の風味の白ワインなら、レモンやゆずを絞ってみる、スパイシーな赤ワインならサンショウや七味をプラスする、といった具合だ。

今回は参加者の前にはブリッジ食材として12種類の調味料が用意されており、小枝さんのナビゲートのもと、実際に試食しながら料理と8種類のワインとのペアリングを探っていった。特に相性が良かったのが下の表の組み合わせだ。

興味深かったのは、牛肉+焼肉のタレに、粒マスタードの組み合わせ。焼肉のタレだけだと、タレの甘みでワインが苦く感じられてしまうが、そこに酸味のある粒マスタードを加えるだけで、一気に爽やかさが増し、スパイスの香りまでアップした。

そしてナパの生産者からも驚きの声があがったペアリングは、焼肉とわさびしょうゆ。日本の食材として欠かせないわさびだが、わさびしょうゆで赤ワインに合わせると、ワインが渋く感じられてしまう。そこで、しょうゆをたまりしょうゆに変え、煮切りワインで酸味を足すと、渋みを抑えつつわさびの清涼感を楽しめるようになる。小枝さんのもうひとつのおすすめは、焼肉+たまりしょうゆ+万能ネギ+コショウ。これだと万能ネギによりハーブの香りが引き出され、最後にブラックペッパーのスパイシーな余韻がつづく。

ナパバレーの生産者もブリッジ食材の効果に驚いた

「人によって好みのペアリングは違う」と小枝さんが強調するように、ひと工夫のしかたも、人によって変わるのだ。

ナパバレーのワインのように、いいワインほど味わいが複雑で、それだけ多様なブリッジ食材に合いやすい。さらに複数のブリッジ食材を加える事によって、料理とワインの魅力は増す。味噌やしょうゆなどの調味料をはじめ発酵食品の宝庫である日本食材は、ぶどうを発酵させたワインとの相性も良く、ブリッジ食材の選択肢も豊富だ。自分好みのペアリングを見つけたい。

【ワインリスト】(番号は上の表と一致する)
1.トレフェッセン・ファミリー・ヴィンヤーズ 2014 ドライ・リースリング
2.レイモンド・ヴィンヤード 2013 リザーブ・セレクション・メルロー
3.トゥーミー・セラーズ 2012 メルロー 
4.シレノス・ワイナリー 2013 カベルネ・フラン
5.シルバー・オーク・セラーズ 2012 カベルネ・ソービニヨン
6.ケークブレッド・セラーズ 2013 カベルネ・ソービニヨン
7.サン・スペリー・エステート・ヴィンヤーズ&ワイナリー 2013 エステート・カベルネ・ソービニヨン
8.ダリオッシュ 2013 カベルネ・ソービニヨン

(ライター 水上彩)

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