小松菜奈、スコセッシ作品で存在感 話題映画が相次ぐ

2016年は5作もの映画で主役やヒロインを務めた小松菜奈。その勢いを持って、17年はさらに一段上のステージへと向かう年になりそうだ。
彼女が16年の公開作で演じた役は、実に幅広い。『黒崎くんの言いなりになんてならない』では地味な女子高生、『溺れるナイフ』では可憐なティーンモデル。そして『ディストラクション・ベイビーズ』では茶髪のキャバクラ嬢を演じきった。
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「16年の公開作は、現場も役柄もハードなものが多かったんですけど、『あの時、頑張って良かったな』と思えるような作品が多くて。
例えば『溺れるナイフ』は、山戸結希監督が26歳で新しい感覚を持っている方。直前に撮影場所が変更になったり、長ぜりふを1時間で覚えなきゃいけない時があったり(笑)。頭が真っ白になることも多かったんですが、私は負けず嫌いで、ハードな役や現場のほうが燃えるタイプ。菅田将暉さんなど共演した方々との化学反応も楽しめ、達成感がすごくありました」
『黒崎くん~』は興行収入11億円超え。『溺れるナイフ』も公開6週目で興収7億円に迫り、中規模公開作としては大成功といえる成績を収めた。また、『ディストラクション~』ではヨコハマ映画祭で最優秀新人賞を獲得するなど、演技についても高い評価を得た。
一方、公開中の『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』は、王道のラブストーリー作品。福士蒼汰ふんする主人公・高寿が一目ぼれするヒロイン・愛美を演じる。
「愛美は女の子らしくて、気配りもサラッとできて、男性の理想の女性像という感じ。演じたことのない役だったので、三木孝浩監督と話し合い、声のトーンを高くしたり、髪の毛を耳にかけるといった、"モテるしぐさ"も調べました(笑)。完成した作品は、監督に自分の新たな顔を見せてもらえた気がしてうれしかったです」
『渇き。』からの脱却を図る
"新たな顔"。これは16年の公開作品で追い求めたものだった。小松は、08年に雑誌モデルとしてキャリアをスタート。13年の「dビデオ」などCMでも話題を集めた。そして14年、映画『渇き。』で女優デビュー。周囲の人間を狂わせる女子高生・加奈子を演じ、日本アカデミー賞新人俳優賞に輝くなど脚光を浴びたが、その強烈な印象が付きまとうことになった。
「どんな役をやっても、『加奈子にしか見えない。ダークにしか見えない』って言われて……。そのイメージから抜け出せるか、不安だったんです。だから16年の公開作で幅広い役をやらせていただき、『ああ、こんな顔もできるんだ』と思ってもらえるようになってきたかなと。良い作品に出合えたことが何よりうれしかったです」

そんな小松の17年は、役柄も作品も、さらに幅を広げる年になる。1月21日にはマーティン・スコセッシ監督作品『沈黙ーサイレンスー』が公開。ハリウッド映画デビューを果たす。8月は、人気マンガの実写化『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』が控える。スペインロケを敢行した17年の目玉作品の1つだ。
「昨年の公開作品は、毎日のように撮影し、終わったらすぐ次の映画に入るという怒濤の日々が続いたんです。でも、『沈黙』や『ジョジョ』は、自分の時間もしっかり取って取り組めた気がします。
『沈黙』は台湾で撮影したんですけど、ハリウッド映画は日本とはまったく違って、出番がない日もけっこうあって。滞在した1カ月半のうち1カ月は休みだったんです(笑)。スコセッシ監督は慎重に撮っていく方で、現場に行っても『今日はワンシーンだけ』と言われたり。日本映画はどちらかというと時間通りに撮っていくことが多いので、ずいぶん違いました。休みの日は共演者の方々とご飯を食べに行って、演技について話したり、(作品のテーマである)神や人の弱さについても考えたり……。台湾を楽しみつつ、緊張感を持って撮影に挑みました。
悔しかったのは、監督と英語で直接話ができなかったこと。通訳の方に訳してもらうと、ちょっとしたニュアンスが分からない部分があるので、もっと英語も勉強して、機会があったらまた海外のお仕事にも挑戦していきたいです。

『ジョジョ』は世界的な人気マンガです。そんな作品に出演するというプレッシャーももちろんありました。ただ、あまり原作に引っ張られないように、スペインでのロケでは、なるべく伸び伸びと演じるように心がけましたね。
以前は、演じる楽しさが分からなくて悩んだりもしたんです。でも今は楽しく、充実しています。いろんな挑戦をして、いろいろ吸収して。これからも、女優業も頑張っていきたいです」
(ライター 泊貴洋)
[日経エンタテインメント! 2017年2月号の記事を再構成]
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