ヘリコプターマネー提唱の本 大手町で大きな関心
紀伊国屋書店大手町ビル店
ビジネス街の書店をめぐりながらその時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は定点観測している紀伊国屋書店大手町ビル店だ。年末年始は行く年の振り返りと来る年の展望を求めて本が動く時期。秋以降大型の売れ筋本が相次いで出たことに加え、各種の年間ランキングを材料に再び売り上げを伸ばす本もあり、なかなか店頭に活気がある。そんな中、金融の街、東京・大手町の関心をとりわけ引いたのはヘリコプターマネーをめぐる1冊の本だ。
元英金融庁長官が執筆
その本はアデア・ターナー『債務、さもなくば悪魔』(高遠裕子訳、日経BP社)。副題で「ヘリコプターマネーは世界を救うか?」と問うヘリマネ政策の提唱者自らが書いた問題の書だ。ターナー氏は2008~13年、英国の金融庁にあたる金融サービス機構(FSA)長官を務めた人物。現在は著名投資家のジョージ・ソロス氏が設立した新経済思考研究所(INET)の所長を務める。そのソロス氏らとの濃密な対話などを通じて深めたグローバル経済への思考をまとめた内容で、世界経済や、2008年の金融危機以降長期にわたって続く景気低迷、さらにそこからの脱却を目指す金融政策に関心が