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カフェも急増 ボードゲームにアラサーがハマる理由

2017/1/5

池袋のJELLY JELLY CAFEにはボードゲームを遊びに20~30代がよく訪れる。写真は動物の生息地域や体長・体重を推測する「ファウナ」(5400円)。見たことのある動物でも詳細は知らないので推測が盛り上がる ※価格は税込み、以下同

ゲームといえばソーシャルゲームや仮想現実(VR)を利用したテレビゲームが思い浮かぶが、近年、アナログなボードゲームが人気になっている。2016年12月11日に開催されたボードゲームのイベント「ゲームマーケット2016秋」は、2000年の開催以来右肩上がりに入場者数を伸ばし、過去最多となる1万2000人を記録。2011年には3000人だったのが、4倍まで成長した。ボードゲームの人気を支えているのは20~30代。テレビゲーム世代がはまるその魅力に迫った。

■ボードゲームは「友人と遊ぶきっかけ」

「友人と遊ぶきっかけが増えた」。ゲームマーケットに来ていた20代後半の男性は、ボードゲームについてそう語る。3年前、当時流行していた「人狼」(じんろう)にはまり、それから他のボードゲームにも興味を持つようになった。以来定期的に新しいものを買い、休日は月に1回程度、友人を家に招きボードゲームで遊ぶという。友人が知らない友人を連れてくることもあるが、「一緒に遊んでいるうちにすぐに打ち解けられる」と語る。

過去最高の入場者数を記録した「ゲームマーケット2016秋」の様子。出展されているゲームはその場で試遊したり、実際に購入することができた
ゲームマーケットには、歴史をモチーフにしたものや、SF、美少女系など多彩なゲームが展示されていた。写真は工場を運営しながら大企業を目指す「ビンジョー×コウジョー」

現在は盤面を使わなくても、アナログゲーム全般を総称して「ボードゲーム」と呼ぶ。「人狼」とは、人間の中にまぎれた人の姿をした狼(人狼)を探っていくゲームだ。プレーヤーは「市民」チームと「人狼」チームに分かれ、会話をしながら人狼が誰かを探っていく。会話中、人狼は市民のように振る舞っているので、観察力やだましあいなどの心理戦が要求される。

もとは2001年にアメリカで発売された「汝は人狼なりや?」というカードタイプのボードゲームだ。日本で人気が出たのは5年ほど前。2013年からはフジテレビでこのゲームを題材にしたバラエティー番組「人狼~嘘つきは誰だ?~」が放送され、広く浸透した。

高円寺にあるボードゲーム専門店「すごろくや」の宮本誠さんによれば、この人狼がブームの火付け役だったという。

「当店のお客様はそれまでボードゲーム愛好者が中心でしたが、人狼がメディアで取り上げられるようになると、20~30代のまだあまり詳しくない方が訪れることが増えていきました」

人狼イベントの様子。「農家」「牧師」などの役割を演じているが、この中に人狼が紛れている

■ボードゲームカフェの普及がブームを後押し

また、宮本さんによれば「ボードゲームが遊べるプレースペースが増えたこともブームの一因」。これまでボードゲームを遊ぶためには誰かの家に集まらなくてはならなかったが、プレースペースができたことで集まりやすくなり、ゲーム自体もカフェにそろっているので様々なものをプレイできる。

「ここ1年ほど、興味があるけどやったことがないというライト層の方が増えてきました」。そう語るのは、ボードゲームカフェ「JELLY JELLY CAFE」のオーナー白坂翔さんだ。JELLY JELLY CAFEは2011年、渋谷に1号店をオープン。2016年には、池袋、下北沢、福岡天神と立て続けに店舗をオープンした。白坂さんいわく、ボードゲームで遊べるお店は「ここ最近、急に増えた印象がある」。

JELLY JELLY CAFE池袋店の壁には、ボードゲームがずらりと並ぶ。池袋店は300種類ほどを揃えているという

「2011年の頃、ボードゲームで遊べるお店はほとんどありませんでしたが、最近は毎月のように新しい場所がオープンしています。現在は都内だけで20店舗はあるのではないでしょうか」

JELLY JELLY CAFEは数人で連れ立って来店する人がほとんど。客層は平日の日中は大学生、夜は会社帰りの社会人、休日は友人同士やカップルが中心だ。

■ボードゲームは「人間性が見えやすい遊び」

白坂さんによれば、ボードゲームは「SNSなど画面上でのコミュニケーションが主流になる中、あえて対面で遊ぶことが魅力として受け入れられている」。

「ボードゲームは人間性が見えやすい遊びです。度胸試しに強い人、冷静に分析する人……嘘をつく時によくしゃべる人、というのもいます。会社や日常の中では見えない、ゲームをしてはじめてわかる一面がある」

対面でプレーすることで必然的に会話が生まれ、はじめて会う人ともすぐに打ち解けられる。

「初対面のカップル2組が4人用のゲームをプレーするうちに打ち解け、仲良くなって帰っていくということもあります」(白坂さん)

■人気は「協力系」と「正体隠匿系」

白坂さんによれば、ボードゲームといえば数年前まではボードを使って順位を競うものが主流だったが、最近はジャンルが幅広くなってきているという。

「特に人気なのは『協力系』と『正体隠匿系』の2つです。まず、協力系とは順位を競うのではなく、一つの目的に全員で取り組むゲーム。協力しあうので殺伐とせず、初対面でも仲良くなりやすいのが特徴です」(白坂さん)

協力系ボードゲームの「パンデミック」(4320円)。2008年に発売され、続編や拡張パックが発売されるなど人気を集めている

協力系の代表的なゲームは「パンデミック」。世界中で感染症がまん延する中、プレーヤーは医療チームの一員となって世界的流行(パンデミック)の阻止を目指す。特効薬を見つけることができればプレーヤーの勝利、その前に世界的流行となってしまったら敗北となる。プレー時間は50分程度。

「このゲームはなかなかプレーヤーが勝利できないのですが、失敗するとみんなで反省会になる。これを繰り返すと、成功した時に余計に盛り上がりますし、プレーヤー同士も仲良くなれます」(白坂さん)

■「人狼」でブームになった正体隠匿系

「正体隠匿系」は人狼のように、誰かが正体を隠した状態でゲームが進行するもの。人狼のブームとともに種類が増え、心理戦が必要なゲームの中でも特に人気となっている。

最近注目を集めているのは「インサイダー・ゲーム」だ。プレー時間は15分程度。「マスター」と呼ばれる出題者にプレーヤー全員で質問を繰り返しながら、時間内に正解を目指す。この時、正解を知っている「インサイダー」が1人紛れているが、インサイダーは他の人にばれてはいけない。知らないふりをしながら正解を目指す心理戦が行われるのだ。正解したら次はインサイダーを当てるフェーズに移行し、当てればプレーヤーの勝利となる。

昨年6月に発売された「インサイダー・ゲーム」(2376円)。カードタイプのボードゲームは場所をとらず、値段も安価なため初心者が手に取るのにおすすめだ

「『インサイダー・ゲーム』は正体隠匿系とクイズゲームの合わせ技。昨年6月に発売されたゲームで、日本人が作ったということもあり人気を集めているゲームです」(白坂さん)

作品により異なるが、ボードゲームの値段は2000~5000円程度とデジタルゲームとさほど変わらない。「ボードゲームは自宅で家族・親戚と楽しむもの」という先入観を捨てて、1つ買ってみると知らない楽しさに出合えるかもしれない。

(ライター 小沼理=かみゆ)

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