『超問! 真実か? ウソか?』○×クイズの面白さ追究
プレゼンが番組の肝に
過去4回の特番を経て、5月からレギュラー化された、「究極の○×クイズSHOW!! 超問! 真実か? ウソか?」(日本テレビ系)。身近でありながら本当かどうか、意外と迷う問題が出題される。春にスタートした新バラエティーのなかでは最も好調で、2時間スペシャルの放送ではコンスタントに視聴率11%以上を取っている。
「子どもの名前が決まらないとき、出生届は空欄で出しても良い(正解は○)」
「当選者が決まったのに、投票率が低すぎて無効になった選挙がある(正解は×)」
「世の中のありとあらゆることを1度○×クイズにしてみて、意外な事実が分かったり、常識が覆されたりするような問題を出題しています」と、企画演出の河野雄平は語る。河野は、8年前から夏の恒例番組『全国高等学校クイズ選手権(高校生クイズ)』を担当しており、それが企画のヒントになった。「『高校生クイズ』でも毎年○×クイズが出されます。考えれば考えるほど迷う感じも面白いですし、何百もの問題を作ったり選んだりするなかで、○×クイズだけでもスタジオバラエティーになるんじゃないかと考えました」
『超問!』の特徴は、○と×のそれぞれに、解答を誘導するプレゼンターがいること。○のプレゼンを桝太一アナウンサー、×のプレゼンを劇団ひとりが担当している。クイズは定番のジャンルだけに、新しさを加えたいと考えて入れた演出だ。「○×クイズの面白さは、解答者が迷うところにあるので、そこを際立たせるために、もっともらしい主張をする人を立てました」。桝は誠実さと説得力、劇団ひとりは演技力と言葉の巧みさが起用の決め手となった。
このプレゼンが番組の肝となるため、問題の作成よりも、主張する内容を考えるほうに時間がかかるという。アイデアが出ないために保留にする問題も多い。例えば、「ホタルは卵のときから光っている(正解は○)」という問題なら、「成虫だけでなく、卵、幼虫、さなぎと、全部光っているんです、本当です」というのと、「求愛のために光るのに、卵のときに光ってどうするんですか、答えは×です」というように、不正解のほうでも事実であるかのような主張が言えなければいけない。そのため、プレゼンをする桝アナと劇団ひとりとは、収録の前の週に、2~3時間かけて打ち合わせをしている。「桝もひとりさんも、問題に関わる周辺情報などを自ら調べたりしてくれて、"こういう言い方はどうですか"と、アイデアも出してくれます。ひとりさんは、×の主張を頭にたたき込みすぎて、正解を忘れるときもあるようです(笑)」
プレゼンター2人に惑わされ、知的イメージの強い解答者でも、不正解を連発してしまうことがしばしば。そんなスタジオを、有吉弘行が取り仕切る。うんちくが得意な大物タレントに対しても、「語っている割には全然正解してませんよ」などと辛口コメントで盛り上げるなど、視聴者目線の裁判長のような役割も果たしている。
○か×かの2択のため、子どもから年配層まで、誰でも自分の解答を持ちながら見られる。リモコンで解答するデータ放送との相性もよく、毎回数十万人が参加しているそうだ。「新しい視聴者参加型のクイズ番組としても、可能性があると思っています」
(「日経エンタテインメント!」10月号の記事を再構成。敬称略、文・内藤悦子)
[日経MJ2016年10月7日付]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。