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リーダーのマネジメント論

「相手の社長にほれて買収するのは一番危ない」新貝氏JT副社長 新貝康司氏(上)

2016/9/6

リーダーのマネジメント論

ソフトバンクグループ、日本電産――。円高局面となり、日本企業による海外企業のM&A(合併・買収)が増えている。買収・経営統合は至難の業だが、「ミスターM&A」と呼ばれる経済人がいる。日本たばこ産業(JT)の新貝康司副社長だ。同社はもともと日本専売公社だったが、米RJRナビスコの米国外たばこ事業(買収額9400億円)、英たばこ大手ガラハー(同2兆2500億円)と、国内の喫煙率が下がるなか、大型M&Aをテコに成長してきた。長年、JTのM&Aを担う新貝副社長に企業買収やグローバル人材育成などについて聞いた。

(下)採用時に幹部候補選抜 JT「キャリア制度」復活のわけ >>

――日本企業の海外大型買収の成功率は3割に満たないとの指摘もありますが。

「私には日本企業の買収成功率は何%なのかわかりませんが、買収して成功するのが難しいのは事実です。というのは『買収は負けから入る』からです。大半の買収は、市場価値にプラスして必ずプレミアムを払う必要が出てきます。余分な対価を払った分、シナジー(相乗効果)を出さないといけないわけです。そのシナジーを出すということは、買収後の経営をしっかりやるということ。ですから交渉が始まる前に、この買収が終わったらどうやって統合しようか、どうシナジーを出そうか、決めておかないとダメなのです」

――JTが大型買収で成果を出すのは「任せる経営」が奏功しているからとよく言われます。他の日本企業では成功していないケースもありますが。

JT副社長 新貝康司氏

「決して相手任せにして放っておくわけではありません。我々はスイスのジュネーブに海外事業子会社JTインターナショナル(JTI)を置き、買収した海外企業を統括しています。ガラハーを買収した時には私自身が赴任して、JTIの最高経営責任者(CEO)と対等の立場で議論して統合を推し進めてきました。箸の上げ下ろしまで言わないし、信頼して任せている部分は多いです」

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