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首の痛みを誘発 危険なスマホの「あご突き出し」

日経ヘルス

2016/8/21

(イラスト:sino)
日経ヘルス

私は肩こりがあるけれど、首は何ともないという人はまずいない。「一般的に『肩』と呼ばれる部位は、解剖学的には実は首。肩こり=首こりといってよい」とお茶の水整形外科機能リハビリテーションクリニックの銅冶英雄院長は語る。「頸椎(けいつい)は7つの骨が重なり頭部を支えている(下図)。その骨のクッションとなる椎間板の中にある髄核という組織のズレにより椎間板が変形し、周囲の組織が損傷され、痛みとして感じられると考えられる」(銅冶院長)

髄核のずれが酷くなると、椎間板がつぶれ周囲の組織を傷つけ、頸椎への負担が増す。ひどくなると椎骨の中を通っている神経を圧迫し、手足にしびれが出ることもある(イラスト:三弓素青)

一方、首の凝りや痛みは背中から、と指摘するのは東京医科大学整形外科の遠藤健司講師。「背中上部には僧帽筋という大きな筋肉や、数種の深層筋が肩関節から首にわたり付いており、頭を支える役割も。これらが疲労すると首に凝りや痛みが出やすくなる」(遠藤講師)

首から肩、背中にわたり広い範囲を覆うように付いているのが僧帽筋(下図)だ。その下の肩甲挙筋なども首と肩甲骨の動きに関係している。猫背などの悪い姿勢を取り続けると、これらの筋肉が常に緊張状態になり、肩のみならず首にも凝りが出やすくなるのだ。

背中の左右に位置する肩甲骨を動かすことで僧帽筋などの緊張が和らぎ、凝りや痛みの緩和に効果的だ(イラスト:三弓素青)
(イラスト:sino)

これらを引き起こす最大の要因は「悪い姿勢」にあると2人は口をそろえる。「パソコンやスマートフォン(スマホ)の画面に熱中すると、無意識にあごを突き出す人は多い。これが髄核のズレを誘発する」(銅冶院長)。遠藤講師も「首は体重の10~15%ある頭を支えている。スマホなどで前かがみになり首が前傾すると、物理学上、この負荷が数倍にもなる」と話す。

■慢性化するとうつ症状も

首の凝りや痛みの怖い点は、慢性化すると自律神経のバランスが崩れ、頭痛、めまい、冷えなどのいわゆる不定愁訴を誘発すること。「場合によっては、うつ症状にまで至ることもある」と遠藤講師は警告する。「体よりも心の問題の方が治るのに時間がかかる。体の問題にとどまっているうちに対策を打つことが重要」(遠藤講師)

今は凝りも痛みもなくても、首を動かしにくい、動かしたとき音が鳴るなどの違和感があれば“予備軍”。油断禁物だ。

首のトラブルセルフチェック

■この人たちに聞きました

銅冶英雄院長
お茶の水整形外科機能リハビリテーションクリニック(東京都・千代田区)。日本整形外科学会専門医、認定脊椎脊髄病医。日本医科大学卒業後、千葉大学附属病院・国立がんセンター中央病院等での研修、米国留学等を経て2010年より現職。著書に『頸椎症を自分で治す!』(主婦の友社)
遠藤健司講師
東京医科大学整形外科(東京都・新宿区)。日本脊椎脊髄病学会脊椎脊髄外科指導医、日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医。東京医科大学整形外科大学院修了後、米国留学、東京医科大学整形外科医局長等を経て2007年より現職。『本当は怖い肩こり』(祥伝社新書)などの著書、メディア出演多数

(ライター 渡邉真由美、構成:日経ヘルス 太田留奈)

[日経ヘルス2016年8月号の記事を再構成]

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