「社外取締役はもちろんビジネスを理解すべきですが、社内の事情を理解しない方がいいと思います。後継候補について、指名委に十分説明する責任が社長にはあります。合理的に説明できなかったら、当然アウトです。『なんとなくこの人がいいい』では通用しない。選択のプロセスをクリアにすべきです」

――セブン―イレブン・ジャパンの社長更迭案を巡り、セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長(当時)と社外取締役が指名委で対立、人事案が否決された事例をどのようにみますか。

「インサイドストーリーは知りませんが、外から見る限りは指名委がちゃんと機能したのではないかと思います。企業統治としては非常にいいことだと思いますが、もう少し早くから(後継問題を)考えていれば、あのようなドラマチックな展開にはならかったのではないでしょうか」

トップ後継の選抜に求められるクリアな課程と評価基準

「重要なのはトップとなる人材の教育やその評価制度が、日本企業にはほとんどないことです。社外取締役などによる指名委が『なぜこうした人を選んだか』も大事ですが、後継者を育成するためのシステムを評価することも大事です」

「世界のグローバルカンパニーは将来の社長候補を25歳や30歳のころから選抜して、ほかの従業員とは異なる教育を施すなどしています。日本企業はこうした早期選抜を好みませんが、やはり大事だと思います。社外取締役がみて、そうした仕組みを推進することが必要だと思います」

「セコムや東芝もそうですが、任意の指名委であろうと、会社法にもとづく指名委であろうと、委員会があっても日本企業ならではの『ジャパニーズシステム』がそのまま機能している例が少なくありません。ジャパニーズシステムで選んだ後継者を指名委が承認するだけ。結局、CEOのやる気がないとそうなります。従来のシステムをつぶすことはCEOしかできません」

――なぜジャパニーズスタイルをなくす必要があるのでしょうか。

「日本の会社がうまくいっていればいいかもしれません。しかし、日本企業の生産性は低く、今のままでは将来は暗いと思います。というのは、日本企業にとって最大の課題はいまもまだ『グローバル化』だからです。以前とは異なり、海外で製品を販売したり、生産したりすることがグローバル化ではありません。いろいろな国々から新しいアイデアなどを持ち寄り、新しい価値をつくり出すことが、いまのグローバル化です。いつも例に出すのですが、iPadは米カリフォルニアでデザインされ、台湾企業が中国で製造、メモリーは東芝、液晶パネルは韓国LGです。グローバルで世界を見る戦略をつくる人材が不可欠です」

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グローバル化を勝ち抜くために不可欠なダイバーシティー
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