次世代LGBTタレント ぺえ、人気の裏に葛藤も

2016年にタレントとしてデビュー。山形県出身の24歳。性別は男性で、本名は非公開。中学生時代はバレーボールをやっていたという。
2016年にタレントとしてデビュー。山形県出身の24歳。性別は男性で、本名は非公開。中学生時代はバレーボールをやっていたという。

お姉系アイドルの「ぺえ」(24)がお茶の間の注目を集めている。2015年12月にテレビに初登場したのを皮切りに、「踊る!さんま御殿!!」(日本テレビ)など人気番組に次々に出演。ツイッターのフォロワー数はすでに11万人を越える。ピンクの髪に半ズボンのデニムなど奇抜なファッションでも目をひくが、人気の裏には家族との葛藤や仕事にかける「男気」があった。

素人時代からフォロワー2万人

ぺえが最初に世間の注目を集めたのは昨年12月。人気タレントのマツコ・デラックスさんが司会を務めるテレビ番組「マツコ会議」(同)への出演だ。ぺえは当時、東京・原宿にある若者向けの洋服店で販売員として働いていた。「その服は似合わない」「買わないほうがいいかもね」。顧客への接客や服装の相談などに乗る中で、時には毒舌とも受け取れるような素直なものいいからカリスマ店員として、番組で取り上げられた。

ピンクの髪に原色の服を組み合わせた特徴的なファッション、20代「お姉」としてのキャラクターが、流行に敏感な若者をとりこにした。ツイッターのフォロワー数を見るとそのすごさが一目瞭然。タレント事務所と契約する前の「素人」の時代から若者を中心にツイッターのフォロアー数は2万人を超えていた。

「芸能界でもいけるかもしれない」――。目の前で伸びるツイッターのフォロワー数を前に、ぺえは自信を持ち始めていた。「マツコ会議」に出演後は、ツイッターのフォロワー数が急伸して4万人を超え、「芸能界で自分の力を試したい」と決心。芸能事務所の門を叩いた。

契約後は「踊る!さんま御殿!!」など次々に番組出演を果たし、今年6月時点のフォロアーは11万人を越えた。もっとも本人は「事務所の力で出させてもらっているだけ。これからが勝負です」と闘志を燃やす。

そんな順風満帆に見えるぺえだが、芸能界での仕事を選んだときには家族との関係で葛藤もあったという。

「家族からの言葉にほっとした」

4月16日は、ぺえにとって忘れられない日だ。21時からぺえが出演するバラエティー番組「行列のできる法律相談所」(同)が放送される予定だったのだ。ぺえが初めてプロとして出演する番組。ただ、あることが気にかかっていた。

「私の家族は、周囲から何か言われないだろうか」

ぺえは同性愛者であることを前提として出演していた。当然、出演者もそれをネタに場を盛り上げる。しかし、これまでぺえが関わった人や知り合いには、知らない人もいた。「番組で知った人が家族に何か言ったりしないか心配だった。家族も気分が悪くなるかもしれないし」と放送当日を振り返る。

LGBT(性的少数者)という言葉は世間に浸透しつつある。昨年には渋谷区で同性カップルを結婚に相当する関係と認め、「パートナー」として証明書を発行する条例が可決された。企業もビジネスチャンスととらえ、これまでにないサービスを提供し始めている。ただ、同性愛者に対していい感情を持っていない人もおり、多くのLGBTの人にとって公言するのはまだ抵抗がある。

もっとも、ぺえの悩みは杞憂(きゆう)に終わった。テレビでの番組放映が終わった後、兄や姉、母親で作るソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)のライン「家族グループ」には、「お疲れ」「おもしろかったよ」「姿勢が悪いのが気になったかな」と優しい言葉があふれていたという。「家族からの言葉にほっとしました。これでまた、がんばれます」

ぺえは自分が出演した番組を録画し、何度も繰り返し見ている。「ああ、もっと声が張れたな」「顔がつまらない。おもしろくできるはずなのに」と向上心から自分の演出を絶えず批判的に見る。

最後にぺえはこう語った。「早く次に出たい。今ならもっとよくできる」。マツコを目標に、成長への「男気」を見せた。=敬称略

(メディア戦略部 飯島圭太郎)

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