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他者を勇気づけることで、自身のチカラを得る

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皆さん、こんにちは。子育て支援の代表取締役、熊野英一です。今回は、私の著作『アドラー 子育て・親育てシリーズ 第1巻 育自の教科書 ~父母が学べば、子どもは伸びる~』(アルテ刊)の内容を再編しながら、勇気づけに欠かせない「共感力」について考えていきたいと思います。

子どもや夫、共に働く仕事仲間など周囲の他者を<勇気づけ>することは、何がそんなに、素晴らしいのでしょうか?

それは、あなたが周囲の他者を勇気づけることで、彼らが逆にあなたを勇気づけてくれるようになるからです。勇気づけられた状態にある人は、勇気がくじかれた状態にある人にくらべて、どんな状況でも心が穏やかでいられる時間がより長くなります。

勇気づけられている人は、自分のことも、他者のことも、何が起こるかわからない未来のことまでも、「しんぱい」するよりも「しんらい」することができるから、心の平穏を保てるのです。たった一文字、「ぱ」を「ら」に変えるだけで、相手もあなたも、ずいぶんと違う心持ちになるものです。ぜひ、このコラムを通して皆さんにも、勇気づけの素晴らしさを体感いただきたいと考えています。

2方向の「信頼」――対自分&対他者

愛する家族や、友人、会社の上司・部下・同僚、取引先などから無条件の信頼を寄せられたら、あなたはきっとうれしいでしょう。同じように、あなたが彼らに対して無条件の信頼を示せたら、確実に彼らはうれしい気持ちになります。

でも、「誰かを無条件で信頼する」って、実はとてもハードルが高いものです。

例えば、親子関係ではどうでしょう。子どものことを信頼したいのはもちろんだけれど、心のどこかで「やっぱり、うちの子は……」「どうせ……だから」「……ができれば、良い子なんだけど」と、条件付きの「信用」どまりになってしまいがち。

子どもの自立を望みながらも、子どものことを「無条件で信頼する」ことが難しいと感じられる方は、

「では、私はそもそも自分自身を無条件で信頼できているだろうか?」

と自問してみてください。私達は、自分自身を信頼できないままで、他の人を無条件で信頼することはできません。ですから、子どもに「条件付きの信用」ではなく「無条件の信頼」を示したいならば、まずもって、自分自身を十分に信頼する作業を省略するわけにはいかないのです。

「常に、共感ファースト!」 共感こそが、勇気づけの第一歩

アドラー心理学でいう<勇気づけ>とは、勇気づけする相手に「困難を克服するチカラ」を与えることをいいます。そして、勇気づけをするには、お互いに「信頼関係」があることが大切です。ここでは、勇気づけの前提ともいえる、相手と信頼関係を築いていくうえで大切な「共感力」について一緒に考えていきましょう。兄弟ゲンカで勇気がくじかれた兄のケイゴくんの例を紹介します。

<ケース:兄弟ゲンカで勇気がくじかれた兄のケイゴくん>
 6歳のケイゴくんと、4歳のエイジくん。仲良しですが、兄弟ゲンカも絶えません。今日もまた、お気に入りのおもちゃの取り合いに。どうやら、ルールを守れない弟のエイジくんにしびれを切らした兄のケイゴくんが、エイジくんを軽く押し倒したところ、エイジくんが少しオーバーにママに泣きついてきたようです。

「どうせ、僕の気持ちなんて聞いてもらえないんだ。どうせ、いつも通り、僕が悪いって決めつけるんでしょ」と、しょんぼりしている兄のケイゴくんを、あなたなら、どう勇気づけますか?

「なんであなたはいつも弟に暴力ふるうの!」

「お兄ちゃんなのに、『どうぞ。いいよ』って、言えないの?」

「やっぱり、約束破ってまた手を出したのね!」

「年上のお兄ちゃんらしくしてほしい」「暴力はとにかくダメだ」といった、それなりの考えがあるにせよ、私達はついつい、兄のケイゴくんを頭ごなしに叱ってしまうことが多いかもしれません。しかし、ここでは、弟に暴力を振るってしまったという最終的な「不適切な行動」に対して良い悪いとジャッジを下す前に、まずケイゴくんの「適切な行動」に「共感」を示し、ケイゴくんの気持ちをありのままに受け入れてほしいのです。

<共感を示す例>
 今、どんな気持ちなのか教えてくれる。そうか。ルールを守らなかったエイジくんに口で説明できなくて、つい押しちゃったんだ。エイジくんのことを許せない気持ちもあるし、弟を押してしまった自分のこともイヤだって思っているんだね。さっきはまだ自分ひとりでそのおもちゃの遊びを続けたかったんだけど、それが終われば貸そうと思っていたんだよね。

不適切な行動(弟を押してしまった)をとってしまったことを悪いことだと短絡的にジャッジされずに、まずは自分の気持ちに共感してもらえたケイゴくん。よくよく聞いてみれば、確かに自分の好奇心を十分に満たすまでそのおもちゃの遊びに取り組みたかった、というケイゴくんの思いは、好奇心あふれる子どものとても「適切な行動」であるわけです。こうしたケイゴくんの気持ちに共感を示せば、ケイゴくんは安心し、ありのままの自分を認める一歩を踏み出すことができます(アドラー心理学 幸せの3条件:その1=自己受容)。

ケイゴくんの気持ちになって、考えてみてください。きっと、「共感」を示してもらったら、どんな気持ちがするかハッキリとイメージがわくことでしょう。これが、<勇気づけ>られた子どもの気持ちです。

暴力に頼ることはやめたほうがよい、ということを教え、いさめるのは、このように信頼関係をベースにした共感を示した後の話です。そうでないと、子どもは「お小言」を素直に聞き入れられません(大人だって、そうでしょう)。共感を示し、相互の信頼関係を確認できた後ならば、子どもは聞く耳を持つものです(やはり、大人だって、一緒だと思います)。

「共感」とは似て非なる「同情」には、要注意

上記では、親子関係を例に「共感」について考えてみましたが、もちろん、勇気づけやその前提としての「共感」の大切さ・有効性は、親子関係のみならず、大人同士の人間関係でも同様です。「共感」とは、相手の関心に関心を示すことです。さらに言えば、相手の目で見、相手の耳で聴き、相手の心で感じることです。まさに「聴き上手」になるために身に付けるべき力と言えるでしょう。

私が講師を務める「勇気づけ勉強会」で習う「聴き上手」になるためのポイントを一部ご紹介しましょう。それは、「共感」と「同情」を混同しない、ということです。

相手に「同情」の気持ちを感じるとき、そこには「タテの人間関係」が存在することを意識してください。「同情する側と、同情される側」「かわいそうなアナタに◯◯してあげるワタシ」という構図です。どこか、相手に対するあわれみの感情に支えられた、相手を助けているようで、同時に優越感を少し感じてしまっているような関係です。実のところ、かわいそうにと言っている相手の都合や関心事よりも、自己満足的な関心を満たすことを優先しているような状況です。

これに対して、「共感的態度」には上記のような表現はあてはまりません。相手に「共感」を示すとき、そこには「ヨコの人間関係」があります。相互尊敬・相互信頼の関係ともいえるでしょう。ここでいう「尊敬」とは、相手のありのままの状態・価値を認めそこに敬意を表する態度です。相手がかわいそうな人という前提で、上から目線で接するようなことはありません。たとえ相手が、大きく年齢の離れた子どもであろうと、部下であろうと、取引先の業者であろうと、そうした立場や役割としての上下関係とは別に、「ヒトとヒト」として、対等なヨコの関係を意識して「共感」を示すことができたとき、相手は勇気づけられ、あなたの信頼度はさらに向上するのです。

【参考文献】 

・アドラー 子育て・親育てシリーズ 第1巻 育自の教科書 ~父母が学べば、子どもは伸びる~(熊野英一/アルテ)

・アドラー心理学教科書 -現代アドラー心理学の理論と技法- (監修 野田俊作 編集 現代アドラー心理学研究会/ヒューマン・ギルド出版部)

・7日間で身につける!アドラー心理学ワークブック(岩井俊憲/宝島社)

・ELM 勇気づけ勉強会 リーダーズ・マニュアル(ヒューマン・ギルド)

熊野英一
 フランス・パリ生まれ。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。メルセデス・ベンツ日本にて人事部門に勤務後、米国Indiana University Kelley School of Businessに留学(MBA/経営学修士)。製薬企業イーライ・リリー米国本社及び日本法人を経て、保育サービスのコティに統括部長として入社。約60の保育施設立ち上げ・運営、ベビーシッター事業に従事。2007年、子育て支援を創業、代表取締役に就任。2012年、日本初の本格的ペアレンティング・サロン「bon voyage有栖川」をオープンし、自らも講師として<ほめない・叱らない!アドラー式の勇気づけ子育て>を広めている。2016年4月に初の著書「アドラー・子育て 親育てシリーズ 第1巻 育自の教科書 ~父母が学べば、子どもは伸びる~/アルテ刊」を発刊。日本アドラー心理学会正会員。

[日経DUAL 2016年4月20日付記事を再構成]

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