職場が崩す「小1の壁」 学童併設で働くママ支援

働く女性の育児と仕事の両立を阻む「小1の壁」。子どもが小学校に入った途端、放課後の預け先に悩み、働き続けるのが難しくなることをいう。子の預け先となる学童保育の不足や使い勝手の悪さが一因だ。大切な人材を引き留めるため、打開策を講じる職場が目立ってきた。
指導員と学生たちが子どもたちの遊び相手(三重大学医学部付属病院の学童保育所さくら組)

8月7日の夕方、三重大学医学部付属病院(津市)の一室に、小学生が10人ほど集まっていた。「きょうは冷やし中華をみんなで作って食べたんだ」「意外においしかったね」。室内はにぎやかな声であふれる。

ここは同病院が2013年4月に開いた「学童保育所さくら組」。医師や看護師などの小学生の子どもが、親が家にいない時間に過ごす施設だ。夜勤などで働く職員が多いことから、院内に保育園をつくる病院は多い。しかし小学生向けの学童保育となると、まだ少数派だ。

「設置の理由は、女性医師らが直面する小1の壁の存在です」と話すのは、医師のキャリア教育を手掛ける臨床研修・キャリア支援センターの桜井洋至副センター長。同大学で女性医師の割合は年々増え、医学科の学生で3割強、付属病院に勤める医師の5分の1が女性だ。

女性医師が小1の壁にぶつかるのは30代半ばごろが多く「キャリアアップを図るタイミングと重なる」と桜井さん。「女性医師が育児と仕事を両立できずに辞めてしまうと、病院にとっても大きな損失になる」と、支援を決めた。

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全国学童保育連絡協議会(東京・文京)の12年の調査では、学童保育の49%が午後6時までで閉まり、午後5時で終わる施設も6%あった。働く親が利用しやすいとは言いにくい。

三重大学医学部付属病院でも、職員の子どもが通う学童保育は午後5~6時で閉まるケースが多く、仕事と育児の両立が難しいとの声が出ていた。このため、院内学童保育では原則午後7時まで、やむを得ない場合は午後9時30分まで受け入れることにした。

小2の子どもを預ける母親(41)は、通っていた学童を辞めさせて移ってきた。「迎えが間に合わず、子どもが家の鍵を開けられなくて泣いたこともあった。今は安心して仕事ができる」と話す。当初は、常時利用の子どもは1人だったが、2年目に入った今は常に6人が利用。夏休みは昨年の倍の14人が通う。

夏休みなどだけ社内で社員の小学生の子どもを預かる企業もある。バンダイナムコホールディングスだ。

「キッズルーム」と名付けた専用スペースを、東京・品川にある社屋内に設け、11年の冬休みから受け入れを始めた。長期休みの間、社員の小1~小6の子どもを午前9時から午後5時30分まで預かる。今夏は7月下旬に4日間実施済み。盆明けの8月18日からさらに5日間受け入れる。