お出かけ日和 安心の日焼け止め選び
UV量に応じ塗り分け
「子どもと屋外で遊ぶので紫外線は気になる。でも商品が多くて何を選べばいいか分からない」(都内に住む35歳の主婦)。ドラッグストア店頭には、スプレーやクリーム、シャカシャカと振って使う2層タイプまで様々な物が並ぶ。値段も500円前後と手ごろなものから、1万円を超えるものまで幅広い。
どう選べばいいのだろう。ポーラ商品企画部課長の伊藤道代さんは「ファンデーションなど基礎化粧品と同じように、まず自分の肌タイプに合う物を選ぶこと」と指摘する。肌荒れしやすい人にお勧めは、ジェルやスプレーなど負担が少なく付け心地がいいもの。乾燥肌の人には保湿成分入りのクリームがよい。
主な日焼け止め成分は、紫外線を反射させる散乱剤と一旦取り込んで熱に変えることで肌を守る吸収剤。クリームや2層タイプには散乱剤が使われている物が多い。防止効果は高いが、白浮きや肌荒れの原因になりがちだ。一方、ジェルやスプレーには散乱剤を混ぜるのが技術的に難しく、吸収剤のみの物も多い。
紫外線防止効果の表示に使われるのが、商品に印字されている「SPF」と「PA」表記。赤く炎症を起こしてシミ・ソバカスの原因を作るB波を防ぐのがSPF、肌の奥まで届きシワなど老化を促すA波を防ぐのがPA。「数値が高ければいいと思いがちだが、生活スタイルに合わせて選んで」と伊藤さん。
街中と海辺の紫外線強度は異なる。高い効果の物を日常生活で使うと、肌への負担の方が大きくなる。日常生活程度ならSPF20~30、PA+くらいの数値の低いものを、こまめに塗り直すほうがいい。
一番大切なのは塗り方だ。顔の中でも(1)おでこ(2)鼻(3)(4)両ほほの高い位置(5)顎など出っ張っている部分ほど紫外線を浴びやすい。5点に日焼け止め剤をのせ、顔の内側から外側にむらのないように広げる。二度塗りしてもいい。
肩や足の甲などは塗り忘れて「うっかり日焼け」しがち。そんな時は「日焼け後3日間、集中的に手入れすれば、色を黒くする細胞の活性化を抑えられる」(伊藤さん)。ほてる場合は炎症を抑えるローションなどで冷やした後、美白美容液を使うとよい。
体の内側からのケアも大切だ。果物などに多いビタミンCは色素が作られるのを抑えるだけでなく、酸化して黒くなった色素の色を薄くすることが知られる。ニンジンに多いβカロテンや、アボカドに多いビタミンEはビタミンCの働きを高めるといわれる。
肌脅かす刺客 他にも
紫外線さえ遮れば、日焼け対策は完璧と思っていないだろうか。近年、紫外線以外の光線が肌に与える影響が明らかになってきた。
例えば近赤外線と呼ばれる赤外線の一種。東京女子医科大学の川島真教授は「真皮のさらに奥の脂肪や筋膜、筋肉、骨にも達することが分かった」と話す。筋膜や脂肪は肌を下から支える組織。これまで皮膚のたるみは、加齢による影響と考えられてきたが、近赤外線によるダメージが原因と考えられるようになってきたという。
パソコン画面などから出るブルーライトにも注意が必要だ。視力への影響が注目されるが、ランコム研究所は「肌細胞を変色させるという実験データが得られた」という。
赤外線やブルーライトについても、防止効果をうたった日焼け止めがいくつか商品化されている。ただ、まだ新しい研究なので、SPFのように第三者機関による評価がされているものではない。実際に店頭で説明を聞き、商品を試して納得した上で選ぼう。
(松原礼奈)
[日経プラスワン2016年3月26日付]
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