夏にオススメ 冷たいワインに合うチーズ

チーズと言えば秋冬に赤ワインと一緒に楽しむものと思いがちだが、きりっと冷やした白ワインやスパークリングワインと合う、夏向けも意外に多い。アミノ酸やカルシウム、ビタミン豊富なチーズを食事などに取り入れれば、夏バテ知らず。初心者が親しみやすく、これからがおいしい時期となる種類と簡単な料理などへのアレンジ、夏の上手な保存法を知っておこう。

まずフレッシュタイプで

▲約60種のチーズが並ぶ「チーズ・オン ザ テーブル本店」(東京都中央区)では盛り合わせの試食もできる=写真 井口和歌子

ワインの普及に伴って家庭でチーズを楽しむ人も増えた。熟成させないフレッシュタイプ、白カビやアオカビなど、百貨店や専門店、インターネット通販などで様々なタイプがそろう。「秋冬の印象が強いが、夏こそお薦めしたい物が多い」と話すのは、都内で専門店「チーズ・オン・ザ・テーブル」を展開する日本マイセラ(東京・中央)直営事業部の今藤亜記子さん。

スパークリングワインや白ワインに合うチーズの代表格は、クセのないフレッシュタイプの「モッツァレラ」。イタリア発祥とされ、トマトやバジル、オリーブオイルのサラダが有名だが、桃やキウイなど果物との相性もよい。

フレッシュか白カビタイプに分類される「ブリア・サヴァラン」は生クリームを加えて作るため濃厚だが、爽やかな酸味もあってチーズケーキのような味わい。長く熟成させるハードチーズの一種「ミモレット」はカラスミを思わせる色で、甘みとコクが日本人好み。チーズに慣れない人でも、ハーブやスパイスを練り込んだ物だと食べやすい。

今が旬といえばヤギの乳を使った「シェーブル」。「初夏は春に出産したヤギの子育てシーズン。新鮮な草を食べて出す良質のミルクが材料で、この時期は格別の味わい」(今藤さん)

専門店ではどれを選べばいいか迷いがち。今藤さんは「見た目の印象と味が違う物が多い。好みに合わない物を買って、チーズ全般が苦手になる場合もある」と指摘。ウオッシュタイプはクセの強い物が多い。

試食してから買うのが基本だが、できない店舗の場合は、店の人に「ミルク味の強い物を」「匂いが苦手」など好みを伝えた上で薦めてもらう。プロの助言で好みが変わることもある。今藤さんが、「ヤギ乳製のシェーブルは苦手」と言う女性に、ジャムを合わせる食べ方を薦めたところ「匂いが気にならなくなり、大好きになった」という。

チーズとぴったりのワインを選びたい上級者は、原産地を合わせることを覚えておこう。例えばシェーブルチーズのサント・モールは、辛口のロワール地方トゥーレーヌのソーヴィニヨン・ブランと相性がよい。

また、「同じチーズでも、専用のスライサーで薄く切っただけで、味わいの印象は大きく変わる」と今藤さん。チーズと一緒に、専用の道具をそろえれば、気分も盛り上がる。

保管はラップし、野菜室

湿気の多いこの時期、チーズを楽しむ上で気になるのは保管方法。「チーズは乾燥を嫌う。匂いが移らないよう、プラスチックの保存容器にラップしたチーズを入れ、野菜室で保管するとよい」(今藤さん)。水気が出たら、その都度ペーパータオルで水気をとる。

チーズを冷蔵庫に再びしまう時、同じラップは使わず新しい物に取り換えると、雑菌の発生をかなり抑えられる。固く乾燥した場合は削って、カレーやみそ汁にいれるとコクが増す。

賞味期間内に食べきるためには、料理やデザートにアレンジするとよい。仏チーズ鑑評騎士の資格を持つ料理研究家、かのうかおりさんが薦めるのは、シェーブルをオーブンでとろけるほど焼いて、グリーンサラダを添えた一品。仏ではよく食べられるという。「シェーブルが苦手という人も一度試して」と話す。焼くと味がまろやかになり特有のクセが抑えられる。

クリーミーなブリア・サヴァランは、ハチミツと黒コショウをかけてチェリーを添えると大人っぽいデザートに。休日のブランチやホームパーティーでも喜ばれそうだ。

(ライター 糸田 麻里子)

[日経プラスワン2015年6月27日付]