有名大の授業、スマホで通勤中に 芸術・経営学…
課題合格なら修了証
ムークは「大規模公開オンライン講座」の略称で、大学や国際機関などが授業をインターネット上で配信するサービスを指す。誰でも無料で受講できるのが特徴だ。字幕を表示できるタイプが多く、日本でも受講が可能だ。海外の有名大学のほか、東京大学や早稲田大学が大学のサイトなどを使って授業を配信している。
授業は数週間で終わるものが多い。動画を見たあと定期的にオンラインで課題を提出し、合格点に届けば修了証をもらえる。大学でも修了証を履修単位として認めるところが出てきている。就職活動の自己アピール用に興味を持つ人もいるという。
利用が広がりつつあるのは、多様な大学が提供するムークをまとめて一つのサイトで受けられるようになってきたからだ。そうした「まとめサイト」で最大規模のものが、米コーセラが運営する「Coursera(コーセラ)」。コロンビア大学やスタンフォード大学などが授業を提供している。
このほか、代表的なサイトとして「edX(エデックス)」や「Udacity(ユダシティ)」などがある。エデックスは昨年、ハーバード大学のマイケル・サンデル教授の授業を配信した。
日本でも一般社団法人日本オープンオンライン教育推進協議会(JMOOC)が東京大学や京都大学などの授業を配信する「ガッコ」というサイトの運営を14年4月から始めた。
すきま時間にアプリで
サイトを運営する企業や団体は、スマホやタブレットでもムークを受けられるように昨年からアプリを相次いで導入している。アプリの登場にあわせて、授業を10分ごとに区切るなど受講しやすい仕組みに工夫。ちょっとした「すきま時間」を活用したい層にとって魅力が増しつつある。
アプリで授業を受けるには、まずコーセラやエデックスなどのサイトでメールアドレスや名前などを登録する。メールで本人確認をしたあと、アプリでIDやパスワードを入力すれば手続きは完了だ。
コーセラの場合、芸術やマネジメント、医学など分野ごとに授業がある。いつからでも受講できる授業と、開講日と期間が決まっている授業があり、いくつでも受講できる。
例えば「教育」の分野。米スタンフォード大学が提供する「子どもの栄養と調理」を受講してみる。複数のテーマに10分以内の動画がいくつか用意されており、その動画を見てクイズに答えるという手軽な授業だ。
最近、スマホでムークのアプリを使い始めたという会社員の山川貴史さん(25、仮名)は「アプリは画面の文字数が少ないので、次にどこを操作すればいいかわかりやすい」と話す。隙間時間にはスマホ、まとまった時間があればタブレットと使い分けているという。
ムークのアプリは開発されて間もないが、アプリで配信される授業の数は順調に増えている。海外の大学の雰囲気を味わってみたいけど留学はハードルが高い――。そんな人はすきま時間にムークのアプリで海外のアカデミアをのぞいてみてはいかがだろうか。
(経済部 松川文平)
[日本経済新聞夕刊2015年3月12日付]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。