家庭教師はスマホ 手の上でリアルタイム指導
受験生が頼る「スマホ家庭教師」
大学受験にのぞむ埼玉県の小滝風香さん。難問にぶつかった時に取り出すのがスマホだ。設問の写真を撮影して投稿する。まもなく講師から連絡が入り、音声やチャットで指導を受ける。画面にはホワイトボードが現れ、講師の書き込む数式やグラフをリアルタイムで見ることができる。小滝さんは「わからない点をすぐに教えてもらえるのが助かる」と話す。
このアプリ「スマホ家庭教師mana.bo」を提供するマナボ(東京・中央)は2012年設立のベンチャー企業。ITを活用する教育サービスは参入する事業者が急増しているが、その多くは教材や講義の動画を一方的に配信するスタイルをとる。一方マナボの三橋克仁社長は「受験生はわからないところを今すぐ聞きたいと思っている。リアルタイムで講師とやりとりできる点にこだわった」と話す。
講師のほとんどは現役の大学生で、現在約500人が登録している。投稿された質問を見て指導できる講師が立候補し、利用者はそのプロフィルや過去の指導の評価などを参考に、気に入った講師を選ぶ仕組みだ。
スマホを使えば生徒はどこにいても指導を受けることができ、講師の大学生らもちょっとした隙間時間に仕事をすることができる。料金は180分プランが1万2475円からと、一般的な家庭教師や予備校より手ごろだ。昨秋にサービスの提供を始め、年明けの受験シーズン以降、利用者は徐々に増えてきているという。
ダイエットもスマホで指導
スマホを介してリアルタイムで指導するサービスは学習以外にも広がっている。
スマホでダイエットの指導を手掛けるのがFiNC(フィンク、東京・中央)。利用者はまず血液や遺伝子の検査を受け体質を分析してもらう。そして朝晩の体重や日々の食事の写真を専用のアプリで投稿する。それを専属の栄養士が評価し、より健康的で体重が落ちやすい食生活を指導するという仕組みだ。
費用は60日のプログラムで検査やサプリメントの費用を含めて9万8000円から。決して安くはないが、これまで1000人以上が利用し平均して1人あたり6キロ以上体重が落ちているという。
フィンクの溝口勇児社長はもともとジムのトレーナー。減量を目指すジムの利用者がなかなか目標を達成できない実情を目の当たりにしてきた。そこで毎日の食生活を根本的に改善する仕組みをつくりたいと、このサービスを考案した。「一般的な健康管理アプリと違って、実際に栄養士とやりとりすることが心理的な励みになる。一方で毎日顔を合わせるような煩わしさはない。この絶妙な距離感はスマホが普及したことで可能になった」という。
スマホを介したサービスとはいえ、向こう側に人の存在がある。「IT(情報技術)×人」のサービスは無人化や自動化が進む中だからこそ、魅力を発揮できる新たな市場を開拓しそうだ。
(映像報道部 槍田真希子)
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