自宅監視・警戒音・犯罪情報…防犯、アプリで手軽に
綜合警備保障(ALSOK)は今秋、外出先から自宅のなかの様子をスマホの専用アプリで見ることができるサービス「HOME ALSOKアルボeye」を始めた。玄関や窓際など監視したい場所にセンサー付き専用カメラを設置、空き巣など侵入者を感知すればメールで画像とともに知らせる。リアルタイムでの確認も可能だ。
アプリを操作して、専用カメラを上下左右に振れば広範囲に室内外を監視できる。必要ならば同社に電話で警備員の出動も依頼できる。在宅時は起動をオフにすればよい。
料金は月額2500円(税抜き)、初期投資は不要だ。本格的なホームセキュリティーを導入すれば安心感は高まるが、費用がかさむ心配もある。同社は「気軽に利用し防犯への関心を高めてほしい」と話す。
専用機器は不要
専用機器を設置しなくても自宅を監視できるのがモルフォのアプリ「Rusuban Cam」だ。買い替え時に余った中古のスマホを撮影用として使える。カメラの前で動きがあった時だけ撮影するので、データ通信料が少なくてすむ。閲覧は別のスマホから可能だ。利用開始から7日間は無料。ひとり暮らしをしている埼玉県の学校教師の女性(50)は「何かと不安があるので、もしものときの備えとして活用できれば」と言う。
夜中1人で出歩いて不安を感じた際に利用できるアプリも数多くある。警戒音を発したり光を放ったりする機能を持つタイプが目立つ。セキュリティハウス・センター(京都市)の「防犯アラーム」は、クリックするだけでスマホ「iPhone(アイフォーン)」の最大音量で音を鳴らす。あらかじめ設定した番号に電話をかけたり、メールを送信したりできるのが特徴だ。
自分の住む地域で起きた事件事故の情報は、各地の警察本部のホームページで参照できる。近年はスマホの普及を背景に、アプリで提供する動きが広がってきている。
岡山県警は10月、「くらしの安全音声Navi」を公開した。スマホの全地球測位システム(GPS)機能を生かし、利用者のいる場所が事件事故の発生エリアであれば音声で知らせる。埼玉県が提供する「埼玉県安心サポートナビ」は、埼玉県警の発信する振り込め詐欺などの犯罪情報を取得できる。いじめや悪徳商法など困ったときの相談窓口の一覧も用意してある。
サイバー空間も守る
危険はリアル空間だけでなく、サイバー空間にもある。特にネットバンキングを巡る被害金額は増加傾向で、対策が欠かせない。基本は常に最新のセキュリティーソフトを導入することだが、アプリのサービスもある。
トレンドマイクロの「ウイルスバスター モバイル」はインストールしたアプリの安全性をチェックしたり、IDを盗み取る「フィッシングサイト」など不正なサイトへ接続しないようにする。
警察庁によると、全国の警察が2013年に認知した刑法犯の件数は約130万件。近年は減少傾向にあるが、警戒は怠れない。ネット関連の防犯サービスに加え、基本的な知識があればより有効な対策になる。
セコムは日常を安全に送るために役立つ情報をホームページで配信している。交通事故やストーカーなど、子供や女性を意識したコンテンツもある。一段の対策を求めるならば、ホームセンターの防犯グッズを手にとってみるのも良いだろう。
(電子報道部 皆上晃一)
[日本経済新聞夕刊2014年12月25日付]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。