家電操作、スマホにお任せ 複数のリモコンを集約
「地上波初公開のあの映画、録画の予約してくるのを忘れちゃった」
会社員の松本奈緒さん(仮名、26)は帰宅途中の電車内で今夜放送される映画の録画予約をするのを忘れていたことに気づいた。バッグからスマホを取り出し、自宅のDVDプレーヤーを操作。ほんの数秒で録画操作は完了し、ほっと一安心した。
松本さんが利用しているのは、グラモ(東京・豊島)が開発、販売する「iRemocon(アイリモコン)」。エアコンや照明、テレビなどメーカーを問わず家中の様々な家電を1台で操作できる専用端末で、店頭実勢価格は2万5000円ほどだ。
頼れる学習機能
使い方は簡単。横12センチメートル、縦8センチメートルほどの端末を有線LAN(構内情報通信網)を使いルーターと接続する。専用アプリをスマホにダウンロードし、使いたい家電の型番をリストから選択して設定すれば準備完了。あとはスマホがインターネットに接続できる環境にあれば、どんなに離れていても通常のリモコンと同じように操作できる。
使いたい家電の型番がリストになければ、本体に向かってその家電のリモコンを操作して、学習させれば使えるようになる。赤外線で操作する家電のリモコンなら「どんな家電でも対応する」(グラモの後藤功社長)という。
帰宅する少し前にエアコンの暖房をつけておく。リビングにいながら寝室の照明のスイッチをオン。テレビの電源をつけっぱなしにして出てきてしまったので外出先で切る――。使い方は様々だ。
全地球測位システム(GPS)と連動し、「自宅の最寄り駅に着いたら自動的に家の照明やエアコンをつける」というような便利な機能も搭載している。家電が増えるとリモコンも増えて管理が大変になるが、これならスマホ1台に集約できるメリットもある。
NTT西日本の光回線サービス「フレッツ光」の利用者向けに8月に提供を始めた新製品には、温度と湿度を測るセンサーを搭載。外出先でも自宅の様子をスマホで確認できるようになり、エアコンや加湿器などを操作する際の参考にもなるという。
対応機種増える
家電メーカーもスマホで操作できるサービスを強化している。プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン(P&G)が販売する電動歯ブラシ「ブラウンオーラルB」の「プラチナ・シリーズ」に先月、新モデル「7000」が加わった。新製品は近距離無線通信「ブルートゥース」に対応しているのが特徴だ。
スマホのアプリと連携し、磨いた時間や回数を記録。歯磨きのデータを自動的に分析して、リアルタイムに磨き方をガイドしてくれるほか、歯ブラシ本体の動作設定を、歯や歯ぐきの状態に合わせてアプリで自分仕様にカスタマイズできる。
パナソニックは「スマート家電」と銘打ち、同社製の家電のスマホ対応機種を増やしている。大手メーカーの中でも、対応する家電が比較的多いのが特徴で、エアコンやDVDレコーダーなどの遠隔操作はもちろん、体組成バランス計なら、週や月単位で体重と活動消費カロリーをスマホ画面に表示させることができる。日々の健康管理に役立ちそうだ。
同社は家中の照明の明るさを調整するほか、点灯・消灯ができる配線器具を来年1月に発売する予定。消費者の選択肢はますます広がりそうだ。
(電子整理部 鈴木洋介)
[日本経済新聞夕刊2014年11月13日付]
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