日経MJ

リモート会議で明るい顔色を演出

コロナ禍ではマスク着用による肌荒れに悩む人が増えており、ムクナは肌への刺激が少ない点で注目されているという。「シンプルなケアで肌を休ませたいという顧客が増えており、ムクナへの支持が高まっている」と開発を担当する商品戦略部の福田未来チーフバイヤーは話す。

コロナ禍では思わぬニーズも発生した。エイジングケアのUV化粧下地には肌の色を明るく見せる成分が配合されている。在宅勤務が広がるなか、リモート会議時に画面に映る顔を明るくするために使えると人気となった。

20年6月には男性向けの商品も投入した。スキンケア機能を1つにまとめたオールインワン商品と洗顔料の2種類を展開。「男性が見落としがちな保湿機能を充実させた」(福田氏)。東急ハンズの顧客は全体の約4割が男性で、他の雑貨店に比べて多い。もともと多い既存顧客に訴求でき、新規顧客の開拓も期待できるとみる。

調査会社の富士経済(東京・中央)によると19年の男性化粧品類の市場規模は前年比2%増の1199億円だった。20年はコロナ禍の外出自粛の影響を受けて同5%減る見込みだが、21年は同2%増に回復すると予測されている。

近年はスキンケアが習慣化したことで、男性の美肌・美顔市場は有力な成長分野として注目されている。東急ハンズもムクナの男性向け化粧品を今後も拡充していく方針だ。福田氏は「東急ハンズは幅広い年代の顧客層が強みだ。ムクナも家族全員に愛されるブランドに育てたい」と力を込めている。

(津兼大輝)

2018年に誕生した初のスキンケア商品のPB。合成香料などの成分は採用せず、ヒアルロン酸などを配合し保湿を重視した商品として売り出す。基礎化粧品のほかエイジングケアや男性向け商品を展開する。

[日経MJ 2021年7月9日付]