メゾンコーセー表参道 ARやコロナ対応の次世代店

日経MJ

2021/3/17
顧客の気分に合わせて香水の試供品が自動で出てくる機器を設置した
顧客の気分に合わせて香水の試供品が自動で出てくる機器を設置した

化粧品大手のコーセーは2020年12月、フラッグシップストアと位置付ける直営店「メゾンコーセー表参道」(東京・渋谷)をオープンした。完全キャッシュレス対応や非接触での接客など、新型コロナウイルス下での感染対策を徹底する。加えて、拡張現実(AR)などのデジタル施策も次々と試しており、次世代の売り場へ向けた「実験場」のような役割も担う。




多くの若者が行き交う表参道に、ガラス張りの外観が目を引く路面店を構える。店名の「メゾン」はフランス語で「家」を意味し、通常は別々の店舗で扱うコーセーの人気ブランドが一堂に会する「家」というコンセプトだ。

3フロア構成の店内は地下フロアでコーセーのブランドを横断的にそろえ、1階と2階はそれぞれ看板ブランドの「コスメデコルテ」と「アディクション」の専用フロアとなっている。

完全キャッシュレス化や非接触型の試供品頒布機も

コロナ下でオープンした同店は、様々な機器やデジタル技術を駆使した非接触での販売に注力する。一例が、地下フロアに設置した香水の試供品を自動で提供する自動販売機のような機器だ。顧客が生活リズムや憧れの人物像などの質問に回答するとその時の気分に合った香水が提供される。

ドラッグストアや百貨店などの店頭では、試供品として商品をそのまま置くのが一般的だったが、多くの人が触れるため現在は撤去されているケースがほとんどだ。同店では機器を活用することで従来のように商品を試せるようにし、顧客の満足度を高める。スキンケア商品では、手をかざせば自動で1回分が出るディスペンサーで対応する。

ブランド横断で商品を購入できる地下フロアではARを使った肌診断ができる。画像解析や問診により客の肌の状況をスコア化し、お薦め商品を紹介する。

もちろん、美容部員も常駐しているため、気軽に相談することも可能だ。

会計では、現金は一切取り扱わない完全キャッシュレス店舗にし、クレジットカードやQR決済で支払いする。店舗の企画や運営を担当したデジタルマーケティング戦略部の安藤麻衣子氏は「新型コロナの拡大を受け非接触での販売に挑戦した」と話す。

直営店だからこそ「新たな取り組みを積極的に試せる」(安藤氏)こともメリットだ。来店から接客、販売まで、顧客の生の声や行動パターンを把握することができるため、実験場のような役割も果たす。

美容部員が投稿する自社ブログとの連動コーナー設置

3月初旬には新たな取り組みとして、「コスメデコルテ」の売り場に、美容部員が自社ブログに投稿する化粧品紹介と連動したコーナーを設けた。投稿をタブレットの画面に映し、日替わりで商品を展示する。デジタルコンテンツを活用することで、コーセーの最高級ブランドをより身近に感じてもらう取り組みだ。

化粧品でもDtoC(ダイレクト・トゥー・コンシューマー)ブランドが台頭するなど、メーカーにも顧客をひき付ける新たな販売手法が求められている。同店での施策が成功すれば、他の店舗や小売業者への提案もしやすくなる。

デジタルと人の接客を融合した最新の接客を体験できる店舗として、今後も新たな取り組みが投入されそうだ。

(下川真理恵)

[日経MJ 2021年3月17日付]

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