フリーズドライのスープ 飯もの具材や調味料にも変身管理栄養士 今泉マユ子

おわんにポンと入れてお湯を注ぐだけで、具だくさんの味噌汁やスープが味わえる。そんなフリーズドライの商品をよく見かけるようになった。凍らせた食品を真空に近い状態で乾燥させたもの。食品に含まれていた水分が氷の粒になってから蒸発し、氷のあった場所が隙間として残っている。食べる前に注いだお湯や水はこの隙間に入っていき、元の状態を再現できるそうだ。

乾燥するときに高温で熱することがないため、食材の色や香り、食感が復元されやすく、ビタミンなどの栄養素も壊れにくいとされている。軽くて持ち運びに便利なので登山やキャンプ、旅行でも重宝する。常温で比較的長い間保存できるので、万が一のときの備えとしても役に立つ。宇宙食にも使われている。

フリーズドライの味噌汁と一口に言っても、豆腐にシジミ、ナメコ、ネギなど具の種類は豊富。スープも卵スープ、ミネストローネ、酸辣湯(サンラータン)など和洋中そろっていて、その日の気分で選べるのが楽しい。汁物以外にも揚げナスや大根おろしといった食材からカレーやパスタ、丼物まであり、「これもフリーズドライなのか」と驚かされる。

今回はフリーズドライの汁物を具材の入った調味料として使うレシピを考えてみた。例えば茶わん蒸し。ボウルに卵を2個割り入れてほぐし、フリーズドライの卵スープ1個と水を1カップ加えて混ぜれば準備完了。2つの器に等分し、それぞれ軽くラップをして電子レンジで約3分加熱すればできあがりだ。

ご飯と合わせるのも簡単。卵スープとご飯ですぐ雑炊になる。一緒に炒めればチャーハンで、シラスやキムチを加えるなどアレンジしやすい。ミネストローネを使えばピラフのような仕上がり。酸辣湯で作れば、一風変わった中華風の味わいになる。ゆでたそうめんをフリーズドライの味噌汁や卵スープで食べてみるのもいい。寒い時期にはぴったりだ。

おかずとしても十分活躍してくれる。フリーズドライの豚汁をベースに豆乳を加え、チンゲン菜や厚揚げを煮込んでみた一皿もおいしい。フリーズドライ食品にもともと味が付いているので、仕上げの手間がそれほどかからないのもうれしいポイントだ。

フリーズドライのスープは手軽に使えるので、まとめ買いして食卓に取り入れている人も多いだろう。ひと手間加えるだけでメニューの幅も広がりそうだ。自由な発想で試してみてほしい。

今泉マユ子(いまいずみ・まゆこ)
1969年生まれ。管理栄養士として企業の社員食堂、病院や保育園に勤務。缶詰やレトルト食品を使った時短レシピのアレンジのほか、防災食アドバイザーとしても活躍。

[日本経済新聞夕刊2021年2月9日付]