シームレスダウンの洗濯、樹脂に注意 乾燥機はNG洗濯家 中村祐一

2020/12/1

日ごと寒さが増し、ダウンやコートなど防寒着が手放せない季節になってきた。最近はノーステッチやシームレス、圧着などと呼ばれる加工法で仕上げた製品が増えている。縫い目の部分を樹脂のシールで貼り合わせるなどして、機能性を高めているのが特徴だ。

縫い目自体をなくしたり、減らしたりできるので、空気や雨水が外から入りにくく、防寒・防水性が高まる。製品を軽量化でき、充填された羽毛の飛び出しが起こりにくいといった利点もある。ここ数年注目を集めている加工法だ。しかし洗濯する立場からみると、少々厄介なものなのだ。

生地を貼り合わせていた樹脂が劣化すれば、はがれてしまう。製品によって耐久性が異なるので一概には言えないが、早ければ製造から3年ほどで劣化が目にみえる場合もある。先日訪れた店でこの種のダウンをみていたら、同じようなデザインで他の品に比べかなり安いものがあった。よくみると、製造が1年前だった。製造から年数を経ていると、劣化が意外に早く出る可能性がある。購入する際の判断材料にしてほしい。

洗濯するときも樹脂を接着剤のように使っている点を意識してほしい。接着剤がはがれないような洗い方を考えるのが基本だ。接着部分に物理的な力がかからないように、引っ張ったり、強くこすったりするのは避けよう。洗剤の原液やアルコールなどもできるだけ使わないようにしたい。

汚れはやさしく押し洗いして落とす。やわらかい食器用のスポンジで表面をなでるように洗うのもいい。水は常温で大丈夫。冬場で水が冷たいと洗うのが大変で、汚れ落ちも悪いので、水温を30度くらいまで少し上げておこう。

それから脱水だ。あまり長い時間かけることなく、3分ほどで終える。一度に3分ではなく、1分ずつ3回に分けるようにしたい。合間に取り出してほぐし、形を変えておくと、シワがつきにくくなる。衣類へのダメージも少なくすむと思う。

通常縫い目のある部分が樹脂で接着されてシームレスになっている
スポンジで表面をなでるようにして汚れを落とす

縫ってある部分も樹脂のテープでとめ、防水・防寒性を高めている
洗い終えて干すときは陰干しで

ダウンは乾燥機にかけないと、ボリュームが戻ってこないかもしれない。ただ圧着加工などのものでは使わない方がいいだろう。樹脂を使っていることを考えると、乾燥機の熱が劣化につながりかねないからだ。どうしてもボリュームが戻らない場合は仕方ないが、極力短く、10分前後までにとどめよう。洗濯を終えて干すときには陰干しにするといい。

こうしたアイテムは取り扱いが難しいだけに、プロのクリーニング店に頼るのもおすすめ。預けるときに、店と相談してみるといいだろう。ただ樹脂がはがれかけていると受け付けてくれない場合はある。どれほど注意して着たり、洗ったりしていても劣化が防げない面もある。そこは製品の特性として受け止め、上手に付き合っていってほしい。

中村祐一(なかむら・ゆういち)
1984年生まれ。クリーニング会社「芳洗舎」(長野県伊那市)3代目。一般家庭にプロの洗濯ノウハウを伝える「洗濯家」として活動。「洗濯王子」の愛称でメディア出演も。

[日本経済新聞夕刊2020年12月1日付]

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