伊勢丹新宿店「イセタンシード」 各階注目の雑貨集積

日経MJ

2020/11/4
イセタンシードは百貨店の「顔」として他の売り場への送客の役割も担う
イセタンシードは百貨店の「顔」として他の売り場への送客の役割も担う

三越伊勢丹は9月、伊勢丹新宿店(東京・新宿)の1階に雑貨の自主編集売り場「ISETAN Seed(イセタンシード)」をオープンした。食品から電子機器までユニークな特徴を持つ商品を幅広くそろえ、電子商取引(EC)との連動もアピールする。他フロアの専門売り場への送客も担う百貨店の「新たな顔」として、若者ら新規顧客の開拓を目指す。




新宿店の各売り場から光る商品をセレクト

伊勢丹新宿店本館の正面玄関から入ってすぐの位置にあるイセタンシード。日本酒やシャンパンといった酒や文房具、書籍や化粧品まで様々な商品がずらりと並ぶ。いずれもカラフルで思わず手に取ってみたくなるような品ぞろえだ。

イセタンシードは婦人雑貨売り場を14年ぶりに改装し9月2日にオープン。従来はスカーフやハンカチなど女性向け服飾雑貨が中心だったが、その装いを大きく変えた。商品は各フロアの担当者らと連携して約100ブランド・約1300点をそろえ、デザインや機能性にもこだわった。

特徴的なのは例えば「ガジェット」と呼ばれる携帯用の電子機器。1970年代のインスタントカメラ「ポラロイド」をオーバーホールした限定モデルやオシャレなスマートフォンケースなど、家電量販店とは異なる商品が目立つ。

書籍は銀座蔦屋書店(東京・中央)による選書で、手塚治虫氏の「火の鳥」など印象的な作品が並んでいる。

売り場や通販サイトへ送客する仕掛け

イセタンシードの大きな目的は他の売り場への送客にもある。ここで購入した商品を気に入った顧客が専門の売り場にも足を伸ばし、継続して買い続けてくれるような関係作りを狙っている。

食品は地下の食品売り場で売り上げ上位の商品から、酒やレトルト食品、調味料を扱う。売り場のスペースや「お一人様消費」も意識し、小容量のタイプも充実させた。売り場をまとめる小林嵩バイヤーは「ここに来れば伊勢丹が分かるという役割を、イセタンシードには持たせた」と説明する。

ECとの連動も重要なポイントだ。売り場の各所にはiPadが計9台設置され、来店客は取扱商品にまつわるエピソードなどコンテンツを楽しめるほか、そのまま三越伊勢丹の通販サイトで注文することも可能。店頭は多種多様な雑貨の「ショールーム」としての役割も担っている。

オープンから2カ月が過ぎ、同一スペースあたりの販売額は以前の売り場と比べて2桁増で推移している。購入客の約半数は35歳以下と、こちらも大きく若返った。

各フロアの専門売り場や通販サイトへの送客など、目指す相乗効果への期待も高まっている。小林氏は「伊勢丹ならではの商品力やレイアウトをさらに磨き込みたい」と意気込む。

新型コロナウイルスの影響で百貨店への客足が遠のく中、独自色を打ち出せる自主編集売り場は各社が強化を目指している。三越伊勢丹はイセタンシードに「日々の生活を彩る種」の意味を込め、顧客を飽きさせない店作りに注力する考えだ。

(河野祥平)

[日経MJ 2020年11月4日付]

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