つらい膝痛 動かして軽減 体操や水中エクササイズ有効装具も活用、残った軟骨維持

「股関節を大きく回しましょう」。指導員の声に合わせプールに入った高齢者が脚を動かす。スポーツクラブのルネサンス蕨24(埼玉県蕨市)の「膝・腰機能改善水中運動スクール」の様子だ。

今年初めに膝痛を発症した佐藤寛太郎さん(85)は医師に勧められ、今春からスクールに通い、今は痛みがなくなったという。水中だと浮力で体への荷重が10分の1程度になり膝への負担が減り、逆に水の抵抗で運動効果は高まる。

ただ、運動療法で効果が期待できるのは軟骨が残っている人の場合だ。軟骨を極力残すため、装具を活用する方法もある。

O脚の人は内側の軟骨が減りやすく、X脚の人は外側の軟骨が減りやすい。それを矯正する装具を身に着けるとバランス良く歩けるようになり、軟骨の減少を抑えることができる。サポーターは、身体的な効果は大きくないものの膝回りに装着することで安心感が生まれ、積極的に体を動かそうという動機づけになる。

軟骨がほぼなくなった末期の人には、人工関節をはめ込む手術も選択肢の一つ。深く膝を曲げる正座などはできないが、痛みがなくなるので手術を選ぶ人は増えている。とはいえ末期になる前に体操などで膝の筋肉を鍛え、できるだけ残った軟骨を維持することが基本だろう。

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積極的に外出しよう

膝痛を抱える人は痛みから体を安静にしたり、外出を控えたりしがち。しかし、江東病院の黒沢さんは「体を動かさずにいると、やがて体の機能が衰えて自立度が低下し、最悪、要介護状態になる恐れもある。家の外に積極的に出なくなると、他人と会話する機会が減り社会性が失われ、認知症を誘発する可能性もある」と指摘する。

これを裏付けるデータもある。厚生労働省の国民生活基礎調査(2016年度)によると、介護が必要となった主原因は膝痛や腰痛などの「関節疾患」が要支援者でトップだった。要介護者でも認知症や脳血管疾患などに次いで5位に入った。

体の衰えが進み、要支援から要介護へと症状が重くなる高齢者は多い。膝痛などの関節疾患は要介護状態を招く引き金になりかねない。日ごろから適度な運動や外出を心がけたい。

(高橋敬治)

[日本経済新聞夕刊2019年11月6日付]

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