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ゆっくり化粧品を試せる場所を提供する

東京・銀座にある資生堂の旗艦店「資生堂 ザ ストア」(東京・中央)。2階の化粧品売り場には、ドラッグストアから百貨店まで様々な販路を持つ同社の商品が垣根なく並べられている珍しい売り場だ。ここでリーダーを務める川井裕美さんは、仲間と連携しながら、リピーターを増やしていく売り場づくり、さらに明るい職場づくりを目指している。

「資生堂を楽しんでもらうテーマパーク」。川井さんは売り場づくりのコンセプトをこう話す。資生堂はザ ストアを2018年1月に刷新。創業の地、銀座で同社の魅力を伝える店舗として、化粧品のほか、エステや撮影サービス、カフェも設けている。

川井さんが担当する2階は「ビューティースクエア2」と呼ばれ、ドラッグストアで購入できる「エリクシール」や「マキアージュ」から、百貨店で取り扱うグローバル高級ブランドの「クレドポー ボーテ」、「SHISEIDO」など主要な約50ブランド、さらに店舗の限定商品まで並ぶ。ブランドごとにまとめて配置する一方、メーキャップ商品などをブランドの垣根を越えて置き、商品を比較できるようにする。川井さんがテーマパークと話す一つの理由がここにある。

川井さんが重視する指標はリピーターになってもらうことだ。ザ ストアの中で、2階は「ゆっくり化粧品の接客ができる場所」という位置付け。1階を訪れた人に「もしよければ試していきませんか」と声をかけ、時間をかけて接客できる場だ。

「銀座の店に来るお客さまは、忙しそうに見えても時間をかけた接客を求めている」と川井さんはみる。最近はファンデーションの新商品が多く、ブランドごとの違いを試しに来る顧客が多いという。川井さんは顧客が何を求めているかを丁寧に聞き、あらゆる商品の内容について説明する。幅広いラインアップをそろえる2階でしっかりと商品を紹介できるのは、リピーターづくりには打ってつけだ。

リーダーとして店舗のチームワークも大切にする。ザ ストアには1階と2階で約30人の美容部員が在籍する。川井さんは1998年に入社したベテランだが、中には若手の美容部員も多い。年の離れた仲間と仕事をしやすくするため、「『ありがとう』を1日10回以上言っている」と話す。互いに細かなことでも感謝の意を伝えていき、他の美容部員との会話を増やそうとする。風通しの良い環境づくりは売り場の雰囲気の良さにもつながる。明るい売り場は美容部員同士の円滑なコミュニケーションの効果も大きいようだ。

川井さんは関西出身で、大阪府や石川県などで美容部員として勤務していた。次第にベテランになり、若手を教育する立場になったが、接客への強い思いから、現場での勤務を申し出たという。目下の目標は「チームで顧客がわくわくする店舗をつくっていきたい」と話す。

(矢崎日子)

[日経MJ2019年9月16日付]

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