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ダイソンの新井太雅さんは店頭商品を使って来店客の要望や悩み解決に応える

ダイソンの新井太雅さんは店頭商品を使って来店客の要望や悩み解決に応える

英ダイソンのヘアドライヤーを専門に販売する横浜市のそごう横浜店1階にある「ダイソンヘア」。ここでダイソン製品を使って来店客に施術するのが、新井太雅さんだ。ドライヤーの性能をその場で試し、セットの仕方を教えてくれる。華麗な施術テクニックと、理論をもとにしたストイックな接客姿勢は、ほかの販売員の憧れの存在でもある。

「よかったら簡単に髪、直していきませんか」。新井さんはヘアカーラーに目をやる20代女性に声をかけた。施術席に案内すると、コームとヘアドライヤーを使い、素早く髪の毛をセットしていく。新井さんはヘアメイクアーティストの経験もある元美容師。客が安心して髪の毛の施術を任せられる空間を作るため、あえて「美容師」であることは強調して伝えるという。

出勤前に百貨店に立ち寄ったという20代の女性の悩みは「(カーラーを使って)毎朝髪をまくのに時間がかかってしまう」ことだった。新井さんは風を使って髪形を整えるヘアカーラー「ダイソン エアラップ スタイラー」で女性の髪を次々とまいていく。セットに15分かかっていたという女性の髪を3分ほどできれいに仕上げた。顧客が実生活で使うことを想定し、製品の特性を感じてもらう。

ダイソンが販売するヘアカーラーやドライヤーの購入を検討する顧客は大まかに2タイプに分かれるという。「髪の毛がまとまらない」などの悩みを解決したい層と「今よりももっと美しくなりたい」などポジティブな要望を持った層だ。新井さんはまず顧客に髪の毛にまつわる悩みを要望を聞き出し、接客プランを立てる。

ダイソン製品は他の家電メーカーの製品と比べて割高だが「期待値を上回るサービスを提供する」(新井さん)ことで、価格のリーズナブルさを伝えていこうとする。1人当たり最大で15分以上の時間をかけて丁寧に接客、来店客の3人に1人は製品をその場で購入するという。

新井さんはカルチャースクールでヘアメイク講師をしていたところ、2017年にスカウトされてダイソンに入社。美容機器や化粧品メーカーでの販売員経験も評価され、ダイソン唯一の本社付の販売担当者になった。「美容家電業界では新参者のダイソンでチャレンジしたかった」といい、テレビショッピング番組にも出演する。

新井さんがダイソンヘアの店頭にたつのは月2回ほど。それ以外は全国の家電量販店などで販売員の指導にあたる。心理学をもとに客の表情やしぐさから感情を読み取るなど、ベストな応対方法などを伝授。18年は年間約1200人の販売員を指導した。

ダイソンは掃除機に次ぐ第2の収益源として美容機器でのブランドの確立を目指す。美容室での拡販も今後進めていく予定だ。新井さんは「掃除機メーカーのイメージを払拭できるかどうかは自分にかかっている」と語る。

(高木雄一郎)

[日経MJ2019年8月5日付]

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