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おひとり様も気軽に入店、大戸屋の新型店 東京・町田

日経MJ

2019/6/26付

カウンターからは食事しながらキッチンでの調理の様子を見られる

「大戸屋ごはん処」を展開する大戸屋ホールディングス(HD)が6月、東京都内に新型店を出店した。従来のロングテーブル、4人席中心の構成を見直し、女性や“お一人様”といった客層を見据えて客席や内装を刷新。既存店の苦戦が続く中で、新たな客層開拓に向けた突破口となるか。

小田急小田原線の町田駅に近い小田急町田東口店(東京都町田市)を全面改装し、新型店に位置付けた。店頭の看板も白を基調に、さまざまな人が食卓を囲む様子をイメージしたものに切り替えた。ロゴに象徴される新型店のコンセプトは「大戸家」。店内設計を担当した建築家の一瀬健人氏は「自宅の中での食事シーンをもとにデザインした」と説明する。

レイアウトに合わせて分けられた3エリアにはそれぞれ“家”にまつわるコンセプトが設定されている。ソファ席を設け、内装や照明などで落ち着いた雰囲気を演出する「リビング」、厨房の様子をのぞけるカウンターを備えた「ダイニング」、明るい内装で長いテーブルを設けた、従来の店舗の造りに近い「サンルーム」の3つだ。

向かい合った客同士の視線が合わないようにテーブルの高さや席の位置をずらした

リビングのソファ席は1人用。席の隣には手荷物をおけるスペースがあり、カフェのような空間設計となっている。ダイニングのカウンター席は座席、カウンターが高めに設計されている。店内調理の比率が高い点を生かし、食事しながら調理の様子を見ることができるように工夫した。

サンルームのロングテーブルは、通常店舗にあるように向かいあって座る形式だが、両面で高さや座席の位置をずらし、客同士の視線が合わないようにした。

店舗全体の席数は70席から68席で2席減となったが、1人用の席は10席から19席まで引き上げた。ソファ席や視線の合わないロングテーブルなど、1人で飲食店に入りづらいと感じていた客層や若い年齢層、女性客などの食事需要も取り込みたい考えだ。

1つの店舗内にまったく異なるコンセプトを取り入れられたのは、同社が新たな店舗像を検証するためだ。町田駅近くは学生からサラリーマン、近隣住民まで客層は幅広い。コーポレートブランド室の岩熊英一氏は「客層ごとの反応などを見ながら他の店舗への展開を検討する」と語る。

大戸屋HDの既存店売上高は2016年3月期から4期連続で前年を下回るなど苦戦が続く。19年3月期には「食べ処三かみ」「かこみ食堂」など新業態を相次ぎ開業させているが、主力である大戸屋ごはん処の強化が避けて通れない。

19年4月にはメニューの改定にあわせ一部商品の価格を引き上げた。窪田健一社長は「共働きの家庭が増え、ヘルシーな定食メニューの需要は高まる」と話すが、新たな来店機会を掘り起こすには、商品だけではなく、利用しやすい店舗像やブランドイメージの発信が欠かせない。店舗網にどう生かすか、実験店の真価が問われそうだ。

(江口良輔)

[日経MJ 2019年6月26日付]

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