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骨粗しょう症、男性も注意 糖尿病・喫煙者は高リスク

2018/12/5付 日本経済新聞 夕刊

高齢女性がよく発症することで知られる骨粗しょう症だが、実は高齢の男性も要注意だ。糖尿病や喫煙の生活習慣などがある男性はリスクが高いが、女性のように公的な特定健診の対象ではなく、認知度は低い。骨折から寝たきりや死亡に至るケースは男性に多く、専門家らは早めの検査や、予防を意識した食事や運動を呼びかけている。

X線を使う機械で骨の状態が測定できる(千葉県市原市の帝京大学ちば総合医療センター)

「骨粗しょう症の検査をしましょう」。帝京大学ちば総合医療センター(千葉県市原市)の第三内科では、糖尿病や肺疾患の治療で訪れる高齢の男性に対し、骨のレントゲン写真の撮影と骨密度検査を行う。大半の男性が「内科の病気と関係あるの?」といぶかしがるというが、井上大輔教授は病気や喫煙が引き起こす「続発性骨粗しょう症」の予備軍が内科を訪れる患者に多いとみて早期発見に力を入れる。

井上教授によると、骨粗しょう症の患者数は日本国内で女性が約1千万人、男性が約300万人とされる。全世界的にも男性に比べて女性の患者数が3~4倍で、一般的には女性の病気として知られる。

女性の場合、50代の閉経後にホルモンが激減し骨の密度が下がって発症するケースがほとんど。男性はホルモンの減少はゆるやかだが、病気や痩せ、栄養障害が原因で起こることが多いという。

病気で多いのは糖尿病のほか、息切れやせきが続いて呼吸が苦しくなる慢性閉塞性肺疾患(COPD)。井上教授の研究では、特にCOPDでは70代の男性患者のうち、骨粗しょう症の発症率は7割におよぶ。井上教授は「内科医自身も肺の治療ばかりに目が向き、骨粗しょう症を見逃すことが多い」と指摘する。

骨粗しょう症を自覚する決め手には「身長低下」を挙げる。身長が直近の数年間で2~3センチ以上縮んでいると骨折している可能性が高いという。こまめに身長を測り、身長低下の傾向がみられれば主治医や整形外科に骨粗しょう症の相談をするようすすめる。

「男性がひとたび骨折すると死亡リスクや生活への障害の度合いが女性以上に深刻だ」と強調するのは、東京都健康長寿医療センター(東京・板橋)の森聖二郎医師。酒やカフェインの大量摂取、常習的な喫煙などで骨の質が悪化し、電話帳を数冊持ち上げたり、軽く転倒したりするだけで骨を折る高齢者がいるという。

骨折部位のうち、特に問題となるのが大腿骨頸(けい)部と呼ばれる太ももの骨折。一般的に男性の発生頻度は女性の3分の1だが、発生後の死亡率は男性の方が高い。オーストラリアの09年の調査結果では、女性の死亡率が一般住民の2.43倍であるのに対し、男性は3.51倍だった。

森医師によると、骨折後に寝たきりになるのも男性がより多いという。メンタル面や家事の生活習慣など様々な要因が推測されるが、正確な理由は研究されていないという。

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