カーテンは半年に1度洗濯を 部屋の悪臭の一因にも

秋から冬にかけてのカーテンは、明かりをつけた家の中の様子を悟られない防犯、室温を暖かく保つ防寒性を兼ね備える。手入れの仕方を紹介しよう。
レールやフックが高所にあり、手間がかかるため、日ごろは手入れを避けがちなカーテン。しかし、綿や砂などのホコリのほか、花粉や排ガスが付着。台所と直結するリビングなら、調理中に発生する油煙も吸い取っている。
カーテンの汚れは嫌な臭いの一因になるうえ、紫外線と重なってカーテン生地の繊維自体を劣化させる。また、窓周りの結露と相まって、カビの繁殖やダニの発生を促すこともある。
部屋掃除と共にホコリ落とす
「普段の手入れは、部屋の掃除と同時にハタキなどでホコリを落とし、軽く整える程度で」とアドバイスするのは、歌舞伎座のどんちょうなどを手掛ける川島織物セルコン商品開発部の中島研司さん。「床掃除の延長で掃除機でホコリを吸い取る場合は、吸い込み口自体についた汚れにも注意してほしい」と話す。
カーテン繊維の劣化とカビ予防のため、ホコリ落としに加え、半年に1回程度の洗濯をすすめる。「カビの生えやすい季節に入る前がタイミング的に有効」(中島さん)。入梅前の5月、寒さが本格化する前の11月が目安になる。
洗濯ができるかどうかは、商品タグの洗濯表示で確認しよう。カーテンフックを取り外し、ヒダに沿って折り、蛇腹状に縦にたたんだ後、洗濯ネットのサイズに合わせて横にもたたんで洗うのが基本的な洗濯の手順だ。

ポイントは大きめの洗濯ネットに入れ1枚ずつ洗うこと。レースは入るならば2枚でもいい。水量はたっぷりにして、おしゃれ着洗いの機能を選択する。洗剤には、衣類用の中性洗剤を使う。脱水は30秒程度にとどめる。
脱水終了後はそのまま放置せず、すぐにカーテンレールのフックに取り付けて干す。
厚手のドレープや薄手のレース、いずれも洗濯の手順は同じだ。また、生地が布なら、最近人気のブラインドのような、ひもで上下開閉する形状のロールカーテンなどのシェード類も基本は変わらない。
「カーテンの製品の洗濯表示が『衣類用中性洗剤のみ使用可』でない場合は、高い洗浄力を持つ衣類用の弱アルカリ性洗剤で洗うこともできる」と話すのは家庭用洗剤を広く取り扱う花王商品広報部の大橋美生さんだ。
その際は、色あせ防止に蛍光剤無配合のものを選ぶ。洗剤に加え、酸素系漂白剤を併用すれば、シミやヤニにも対処できる。ただし、すすぎを念入りにして、成分が繊維に残らないように注意する。
風通しよくして窓も清潔保つ
結露によるカーテンの「カビ」に悩む声も少なくない。 基本的にカビは塩素系漂白剤でないと落とせない。取扱表示で塩素系使用可としているカーテンには使用できるが、それほど多くはない。
浴室や台所のカビ取り用塩素系漂白剤を自己流に用いた「カーテンのカビ落とし術」を紹介するインターネットの個人ブログなどもある。とはいえ、「生地へのダメージが大きく、一見、問題がなくても、経時変化で影響が出る懸念があるので推奨できない」(中島さん)。
小さなカビなら、そこだけブラッシングをしたりつまんで部分洗いで落としてしまえば目立たない場合もある。しかし、カビが大きく、点在して広がっているケースでは自分では対処できないだろう。
クリーニング業者にカビ除去を相談する方法もある。だが、カビの色素は強く生地を傷めない方法では落としきれないことも少なくない。店によっては外注し、高額になる可能性もあるので、いっそのことカーテン自体を買い替えたほうがいいかもしれない。
気になる人は日ごろから、カーテン周辺の風通しをよくしたり、窓ガラスやサッシを清潔にしたりすることを心がけておくといい。洗濯をした後、防カビ効果がある消臭剤を吹き付けておくのも手だ。
室内の壁の面積の大部分を占めるカーテンは、季節に応じて保温や防熱、目隠しなどの機能と柄を変えると、気分転換もできる。正しく手入れをすると同じ部屋も過ごしやすい空間に変わる。日差しや風が暖かい今のうちに、手入れをしてはいかがだろう。
(住生活ジャーナリスト 藤原 千秋)
[NIKKEIプラス1 2018年10月27日付]
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