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時短家事

キレイキレイオバケが手間増やす 過剰な除菌は禁物 生活コラムニスト ももせいづみ

2018/10/16付 日本経済新聞 夕刊

日本の主婦の家事時間が世界の中でもかなり長いという話は以前にも取り上げた。その理由のひとつに「衛生観念が高い」というのもあるように思う。

洗濯や掃除の頻度が、各国に比べて多いだけでなく、ふきんは煮沸消毒、キッチンカウンターはアルコールスプレーで消毒、靴下はタオルと分け洗いといった家事が日常に根付いている人もいる。私はどれもまったく気にならないけれど、一般的に子どもを持つと衛生に敏感になるのかもしれない。はっ。私も一時期子どもの肌着すべてアイロンをかけていたことがあった。あれは一体何だったのか。

衛生管理も過剰になると、水やエネルギーを使い除菌グッズも消費する。何より手間が増える。それでも気になってしまう「キレイキレイオバケ」のようなものが生まれる背景には、メディアの情報や企業の広告も関係していそうだ。じゅうたんや畳がどれだけ不潔でスポンジが雑菌にまみれているかを繰り返し見せられたら、やっぱり心穏やかではいられない。

加えて、先日フランスの友人が滞在中に家の掃除をしていて気づいたのだが、古い家が多い国で、埃(ほこり)や汚れがさほど気にならない人が相手だと、すごく気がラクなのだった。考えてみたら、子育て時期は母親同士の行き来も増えるので、「不潔、ずぼらと思われたくない」という意識もあって、どこかに「相互監視」のような呪縛が生まれていたのかもしれない。

とにかく、キレイキレイオバケは家事時間をどんどん増やしていくので、「良い加減」におおらかでいることはとても大事なのだ。過剰な清潔感からは距離を置き、それでも気になる人は効率よくキレイを維持できる方法を取り入れていきたいもの。

食器洗い機を導入すれば、ふきんの煮沸やまな板の漂白、子ども用マグ等の除菌に、雑菌だらけといわれるスポンジへの不安もすべて必要なくなる。台ふきんに便利なセルロースクロスは、布より乾きが早く衛生的だけれど、それも漂白や煮沸したいと思う人は、水に強いペーパータオルを何度か使って廃棄するほうが、資源も時間もセーブするように思う。

タオルや靴下の分け洗いをしないと気がすまないという人は、高温で雑菌の繁殖を防いでくれる乾燥機の利用をおすすめする。また、床の拭き掃除に時間を費やすより、素敵なルームシューズをみつけて履き、汚れの目立ちにくい素材を選ぶなど、視点を変えてみるのも、家事の時短になると思う。

過剰な除菌は抵抗力も弱めるし、潔癖すぎると、家族を家事参加から遠のけてしまうこともある。私は時短家事の一番の極意は、「ほどほどにばっちく暮らすこと」だと思っている。その方が人にも環境にも優しい。ゆるりといきましょう。

ももせいづみ
東京都出身。暮らし、ライフスタイルを主なテーマとするコラムニスト。本コラムを含め、自著のイラストも自ら手がける。「新版『願いごと手帖』のつくり方」(主婦の友社)、「やれば得する!ビジネス発想家事」(六耀社)など著書多数。

[日本経済新聞夕刊2018年10月16日付]

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