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三重県知事、カジダンへの道 男の意識を変えるコツ

2018/5/29付 日本経済新聞 夕刊

 家事が得意な男子=カジダンになるための挑戦を、1月からつづってきた。今回が私の連載では最終回。どうしたら日本の男性がもっと家事育児を担えるようになるか、考えてみたい。

 日本はこの25年ほど少子化対策を進めてきたが、結局第3次ベビーブームは起きなかった。女性に仕事と家庭を両立してもらうことばかり求めてきたからだろう。女性の努力に依存し、男性や企業はなかなか変わろうとしなかった。

 人口減少が進む日本で、経済活性化に必要なのはイノベーションの力。これを生み出すには、多様な価値観の人、つまり今の日本でいえば女性が活躍できる環境が必要になる。そのためには、男性が意識や行動、働き方を変えなければならない。

 三重県では4年前から男性の育児参画を後押しする「みえの育児男子プロジェクト」を実施してきた。その結果、全国平均を下回っていた男性の家事育児時間は、平均を上回り全国10位に。県職員の意識改革も進め、2017年度は男性職員の育児休業取得率は約25%になった。全国の事業所平均は約3%。まずまずの健闘ぶりだろう。

 男性は仕組みづくりやまねをするのが得意なので、成功モデルを見せると効果がある。育児男子プロジェクトでは会社の枠を超えたネットワークをつくり、効果的な事例を見せて教え合っている。

 そして男性や会社組織を動かすのはエビデンス(証拠)。父親が子供と一緒に勉強すると、子供の学力向上につながるといったエビデンスを政治や行政がアカデミア(学問の世界)の協力を得て示せば、意識を変えやすい。

幼稚園で長男と一緒にコマづくり。これからも子どもと過ごす時間を大事にしていきたい

 とはいえ、こういう事業にはお金がいる。国レベルでの「こども保険」構想が頓挫したのを見て「よっしゃ、ならば自治体版をつくったろう」と考え、4月に「子ども基金」を創設した。法人県民税の超過課税分を使い、子供や子育て施策の安定財源にする。男性の家事育児参画を促すためのエビデンスやネットワークづくりにもこの基金を生かしていきたい。

 一人の父親としては、長男が来年、小学生になるときが少し大変かもしれない。幼稚園とは環境がだいぶ変わると聞く。周囲の先輩ママやパパに教えてもらいながら、準備をしていきたい。

 20年の東京五輪に向け、解説やリポートなど、妻が仕事をする場面も増えていくだろう。彼女が憂いなくためらうことなく活躍できるよう、私も家事や育児をしっかり担っていく。特に料理への苦手意識を克服したい。自信を持ってやれるようにならなあかん。この決意表明をもって連載の締めくくりとしたい。

鈴木英敬(すずき・えいけい)
 東京大学卒、通産省(現経済産業省)に入省。約10年務め退官し、2011年三重県知事に(現在2期目)。兵庫県出身、43歳。妻はシンクロナイズドスイミング五輪メダリストの武田美保さんで、現在2児の父。

[日本経済新聞夕刊2018年5月29日付]

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