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イルカのジャンプにトドのダイブ 魅力あふれる水族館

NIKKEIプラス1

2017/4/29付 NIKKEIプラス1

海の動物たちがトレーナーと披露する水族館のパフォーマンス。
動物の特性を生かすだけでなく、光や映像と合わせた演出も注目だ。
笑いあり、涙ありの掛け合いに、拍手を送ろう。

■野生種保存の役割も担う

 ダイナミックなジャンプに、ユーモアたっぷりの話術。躍動感あふれる水族館のショーは楽しい。息の合ったパフォーマンスは、動物たちとトレーナーの信頼関係から生まれる。

 野生のイルカが船の横を付いてくるように、イルカはジャンプが好きな生き物。トレーナーとともに磨きをかけ、本番で披露している。同じジャンプでも得意不得意があり、体調が悪くてやる気が出ないときもある。トレーナーは細かなサインに気づくよう注意しているという。

 世界的な動物愛護の流れを受け、米国の海洋テーマパークはシャチの繁殖をやめると表明した。日本でも追い込み漁による野生のイルカの購入を巡り、各水族館の対応は分かれている。ただ、水族館は種の保存や調査の役割を担っている。ふだん接することのない海の動物の理解を深めることで、動物と人間が一緒に暮らすことを考えるきっかけにもなる。感動を味わいつつ、思いをはせてみよう。

1位 鴨川シーワールド 890ポイント
シャチと人、雄大な競演(千葉県鴨川市)

 国内で唯一、シャチのパフォーマンスが見られる。体長5メートル、重さ2000キロを超える巨体を持ち上げジャンプすると、約2000人収容の専用スタジアムから歓声が上がる。「間近でこの雄大さを見られるのが最大の魅力」(三好豪さん)だ。「トレーナーを空に放り投げるスカイロケットは、シャチの圧倒的なパワーを感じる」(めnちさん)

 トレーナーを背中に乗せたり、鼻先に立たせたまま回遊したり。「生き物の枠を超えた一体感に感動」(高岡昌江さん)。ベテラントレーナーの小松加苗さんは「シャチたちと一緒に楽しい時間が過ごせる方法を常に考えている」と話す。演目はアドリブで変えることもある。夏にはシャチが尾びれで水面をたたき、観客に水をかけるパフォーマンスも。「ずぶぬれになるのは一生の思い出」(江藤有摩さん)

 イルカとアシカにも専用スタジアムがあり、一日中楽しめる。「ベルーガ(シロイルカ)の特殊能力を解説するパフォーマンスも必見」(小林純一郎さん)。

 (1)大人1人の料金 2800円(2)URL http://www.kamogawa-seaworld.jp/

2位 名古屋港水族館 420ポイント
巨大プールでイルカの舞 (名古屋市)

 長さ60メートル、幅30メートル、最深部12メートルの「国内最大級のプールで行うイルカショーは圧巻」(広海十朗さん)。ジャンプは高くダイナミック。ぐいぐい泳ぎ、大海原での姿を想像させる。その姿を3台のカメラが追い、スクリーンで再生。「水中での動きからジャンプまで見逃さない」(三好さん)

 水族館で生まれたカマイルカ、アイが披露する、回転しながら垂直に飛び出し、頭から着水するジャンプは、遊んでいたときに見せたものを採用した。トレーナーの堂崎正博さんは「観客の拍手が大きく盛り上がると、トレーナーを通してイルカたちにも伝わり、動きが良くなる」と話す。

 シャチの公開トレーニングもおすすめ。水中観察窓から解説付きで見られる。「シャチの頭の良さやコミュニケーション能力に驚く」(大下孝枝さん)。

 (1)2000円(2)http://www.nagoyaaqua.jp/

3位 横浜・八景島シーパラダイス 405ポイント
光と映像、イワシきらきら(横浜市)

 光や映像、音を駆使したパフォーマンスが好評。7万尾のイワシが織りなす「スーパーイワシイリュージョン」は5月7日まで桜吹雪がテーマ。水中の白い木に桜の花が咲き、散りゆく姿まで表現。桜色の照明がイワシに反射し、キラキラ輝く。「餌を一方向から放ったり、光に集まる習性を利用したりしている」と飼育技師の安部奏さん。

 連休中は夜の「海の動物たちのショー」にもプロジェクションマッピングを組み合わせる。

 (1)3000円(2)http://www.seaparadise.co.jp/

4位 海洋博公園・オキちゃん劇場 400ポイント
大ベテラン、仲間と華麗に(沖縄県本部町)

 沖縄美ら海水族館に隣接する。東シナ海と伊江島をバックに展開するイルカショーは「景色と相まってとても感動的」(小林さん)。1976年の開園以来、活躍しているベテランのミナミバンドウイルカのオキちゃんが、仲間たちとダイナミックで華麗な技を披露する。水中の姿を観察できるプールがあり、ダイバーが一緒に潜って特性を説明してくれる。「案内や音楽に沖縄色がある」(新野大さん)、「その場にいる全員が一体になれる」(大下さん)。


 (1)無料(美ら海は1850円)(2)http://oki-park.jp/kaiyohaku/inst/77/129

5位 おたる水族館 350ポイント
トド6頭一斉ダイブ(北海道小樽市)

 躍動感あふれる海獣たちのパフォーマンスが人気だ。「トドが6頭一斉にダイブしたり逆立ちをしたり。巨大な身体を使った俊敏な動きと頭の良さに驚いた」(大下さん)。夏季は営業時間を延長するため、夕暮れを背景にダイブする珍しい姿が見られる。

 「癒やし系のゴマフアザラシがボールをキャッチしたり、階段を上って滑り台を滑ったりする姿に驚いた」(高岡さん)。トドやアザラシは海を仕切っただけのプールで野生に近い状態を保って暮らしており「環境や動物保全についての説明もしっかりしている」(つまき♪さん)。

 意外な人気を集めているのがペンギンたち。食欲はあるけれど指示に従わない点を逆手に取った構成で、「ぐだぐだで思わず笑ってしまう」(めnちさん)。

 (1)1400円(2)http://otaru-aq.jp/


6位 大分マリーンパレス水族館「うみたまご」 320ポイント
セイウチ、多彩な芸披露(大分市)

 「うみたまパフォーマンス」が目玉。セイウチが巨体を器用に曲げて腹筋したり、投げキッスをしたり、シシャモをホースから吸い込んだり。流行やその場の雰囲気を受けて進行するトレーナーの「巧みな話術が観客を巻き込み爆笑必至」(めnちさん)。希望する子どもがトレーナーの「お手伝い」ができるほか、パフォーマンス後、身体に触れられる時間がある。季節ごとに構成を変え「何度行っても楽しめる」(横内梓さん)。

 (1)2200円(2)https://www.umitamago.jp/

6位 アクアパーク品川 320ポイント
光と音、イルカと融合(東京都港区)

 季節ごとにテーマを変えるほか、昼夜で演出が異なる。プロジェクションマッピングを使った演出が人気で、「光と音、映像、天井から降り注ぐ水のカーテンと躍動するイルカたちが美しく融合し、質が高い」(稲垣良子さん)。「幻想的な空間がアート作品のよう」(めnちさん)という声も。「自然界から訪れたイルカたちが乱舞する姿は、科学と野生が融合した今だからこそ見られる新しいショー」(三好さん)だ。

 (1)2200円(2)http://www.aqua-park.jp/

8位 鳥羽水族館 260ポイント
セイウチからのご褒美(三重県鳥羽市)

 ジュゴンがいる唯一の水族館。特に人気なのが「セイウチパフォーマンス笑(ショー)」。「こわもてだが賢くフレンドリーな彼らの魅力が伝わる」(高岡さん)。挙手で参加した観客が輪投げに成功すると、セイウチからご褒美にチューがプレゼントされる趣向も。


 (1)2500円(2)http://www.aquarium.co.jp/

9位 新江ノ島水族館 250ポイント
ミュージカル仕立ての演出(神奈川県藤沢市)

 ミュージカル仕立ての「ドルフェリア」はダンサーとイルカたちが繰り広げるパフォーマンス。音楽に合わせてジャンプし、「イルカもアーティストのよう」(大下さん)。プロジェクションマッピングを用いたクラゲショー「海月の宇宙」も人気だ。

 (1)2100円(2)http://www.enosui.com/


10位 城崎マリンワールド 230ポイント
アザラシの岩登り間近で(兵庫県豊岡市)

 イルカやアシカ、ペンギンなど様々なパフォーマンスが楽しめる。「アザラシの岩登りは能力の高さが実感できる」(つまき♪さん)ほか、「巨大なトドが岩場を登る息遣いや手足を器用に使う姿、叫び声をあげて飛び込む姿は大迫力」(大下さん)。


 (1)2470円(2)http://marineworld.hiyoriyama.co.jp/

◇     ◇

ランキングの見方 数字は選者の評価を点数にした。施設名、所在地。(1)大人1人の入館料(2)水族館のURL。

調査の方法 水族館に詳しい専門家におすすめの演出がある水族館を挙げてもらい、24館を選出。「生態が分かる」「何度行っても感動がある」「光や映像の演出が楽しい」などの観点で順位を付けてもらい、集計した。1、2位の写真は矢後衛、3、6位(品川)は遠藤宏撮影。ほかは各施設提供。選者は次の通り(敬称略、五十音順)。

 稲垣良子(「水族館ぴあ」副編集長)▽江藤有摩(「マリンアクアリスト」編集部)▽大下孝枝(いこーよ編集部)▽小林純一郎(JTB北海道総務部)▽高岡昌江(「ほんとのおおきさ水族館」著者)▽つまき♪(「つまき♪式 親子で楽しむ水族館ガイド」著者)▽新野大(「水族館のひみつ」著者)▽広海十朗(日本大学生物資源科学部教授)▽三好豪(東京コミュニケーションアート専門学校教育顧問)▽めnち(ブログ「水族館に行ってまいります。」運営)▽横内梓(旅行情報誌「じゃらん」編集部)

[NIKKEIプラス1 2017年4月29日付]

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