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「サイレントディスコ」が人気 ヘッドホン着け大勢で 野外でイベント、緩くつながる安心感

2017/1/18付 日本経済新聞 夕刊

雨宮氏と都内で活動するDJチームの共催で昨夏、川崎市の海浜で開いた「海ロック」の風景。サイレントディスコには20代の女性を中心に、10代から60代まで幅広い世代が集まる。

 ワイヤレスヘッドホンを着けて大勢で音楽を楽しむ「サイレントディスコ」が人気を集めている。周囲に音が流れないので実施場所には困らない。公園や電車など多彩な空間での開催が各地で相次ぐ。

 1990年代、欧州の環境活動家が野外イベントの騒音対策の一環で始めた。2000年代半ばに英国の音楽フェスティバルで紹介され、世界に広がる。日本では08年、フェスのサマーソニックで企画されたのを機に、DJがクラブでも開くようになった。

 この現象に目を付けたのが横浜市の雨宮優氏(24)だ。人材養成会社を辞職し、15年、サイレントディスコをプロデュースする事業に乗り出した。「いつでも、どこでもできる新しいフェス」と銘打ち、同年春、東京・代々木公園で夜桜を見ながら音楽を楽しむ最初のイベントを開いた。

 約60人の参加者が装着したのは、半径30メートル圏に高音質の音声を伝送できるワイヤレスヘッドホン。音響機器メーカーのアツデン(東京都三鷹市)が開発した。DJブースから流れる音楽を同時に聞き、ある者はDJの前で踊り、シャイな人は木陰に隠れて体を揺らす。ヘッドホンを外して会話を楽しむこともでき、思い思いにイベントを満喫していた。

 この光景を見て、雨宮氏は手応えを感じた。「それぞれが自由な楽しみ方をしながらも、音楽を通じて緩やかにつながっていて、独りじゃない安心感がある。空気感が時代に合っている」

 これまでに約60回開催し、場所も河川敷やキャンプ場、会社のオフィス、都電荒川線の路面電車内など多岐にわたる。地域も東北から九州まで全国にわたる。企業・団体とのコラボレーションも増え、大手自動車メーカーと組んで自動車展示場で開くなどした。今月25日に東京都内の銭湯で開くイベント「ダンス風呂屋」には40人の定員に約3000人の応募があった。

 「個人や企業、自治体などからの相談・打診は1年前と比べほぼ倍になった。認知度は上がっている」と雨宮氏。地域コミュニティーの活性化に役立ててもらうため、食の安全を考えるワークショップの一環として農村部で開くことも計画。単なる娯楽にとどまらず「社会に貢献するソーシャルフェスの色合いも強めたい」と同氏は話す。

(諸)

[日本経済新聞夕刊2017年1月18日付]

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