働く女性、冬のファッション メンズ服と釣り合いよく
スカーフ上手に 色柄に配慮
冬はおしゃれが楽しい季節。ただ、その楽しさをビジネスの場に直接持ち込むのは一考の余地がある。女性のファッション要素は数が多く、デザインも多種多様で自由度が高いだけに「仕事でその格好?」と、違和感を抱かれかねない。冬の女性ビジネスファッションの注意点や、着こなしのアイデアをまとめた。まずは内勤編から。
東京都内の電機メーカー勤務のAさん(26)は先日、大学時代の友人に会った。彼女はノースリーブのニットが好きで、会社でも着ている。「ちゃんと仕事しているし、問題ない」。と気にする様子がない。Aさんも着て行きたいと思い始めたが、迷っている。
ラフなのは不自然
着たい服があったとき「うちの会社ではどうだろう、と踏みとどまって考えることは大事」と話すのは、パーソナルスタイリングを手掛けるファッションレスキュー(東京・渋谷)社長の政近準子さんだ。
男性の場合、冬の装いへのモデルチェンジは難しくない。「ビジネスファッションのルールが定まっており、冬に足せる物はベストとカーディガンくらい。夏はクールビズでも、秋冬にネクタイを締めれば暖かさも増す」と政近さん。基本の品目だけで礼節と機能性が両立するのだ。
その上で政近さんは、ビジネスファッションの基本は「メンズ」にあると解説する。このため「女性特有のアイテムを盛れば盛るほど、男性と並んだときに釣り合いが悪くなる」。
ビジネスは相手ありき。男性向けファッションコンサルティングを手がけるライフブランディング(東京・港)社長の吉田泰則さんは「男性が多い職場で仕事をするなら、彼らが違和感を抱かない服を選んだ方がいい」と助言する。冒頭のノースリーブについては「男性は仕事の場で肌を出すことがなく、違和感につながる。カーディガンを羽織るなど配慮を」と話す。
「最近は内勤でもスーツを着る女性が増えている」と話すのは、働く女性向けブランド「リミテッドエディション@オフィス」を手掛ける、そごう・西武のマーチャンダイザー、小俣桃子さん。「男性がスーツの職場で、女性だけラフなのは不自然。どうすればきちんと見えるか意識することが大事」と話す。どこまで崩せるかは後の問題だ。
スーツまでは求められない職場でも、きちんとした印象は大切だ。例えば冬はニットの上着とスカートもしくはパンツの組み合わせを、内勤スタイルの定番にしている女性が多い。きちんと感を維持しながら、地味さやマンネリ感を回避する方法はないだろうか。
靴下ストライプに
前出のファッションレスキューのスタイリスト、西畑敦子さんは「スカーフを活用してみては」と提言する。スカーフは今のトレンドでもあり、ニットの上から巻く、ジャケットの襟に添わせるなどでアクセントを作れる。「うまく巻けない人は、ヘアバンドで代用する方法も」と西畑さん。ヘアバンドはタートルネックの内側に巻けばスカーフに見えるのだ。ちなみにタートルネックをジャケットの下に着る場合は、モタつかずきつすぎないサイズがスマートに見える。
内勤でも急な来客に備えてジャケットがあるに越したことはない。「ロングのテーラードジャケットなら暖かい。フレアスカートと合わせたいときは上からベルトを締めればバランスが良くなる」と西畑さん。
シャツスタイルでは、ワイシャツのボタンを一番上まで留めてリボンタイを結ぶのも礼節と暖かさが両立し、おすすめだそう。また三つぞろい風のベストを取り入れる方法もある。
パンツスタイルでは、男性的なレースアップシューズ(ひも靴)にアーガイル柄やストライプのソックスを合わせるのも新鮮。「ストッキングよりあたたかく、正式な場にも向く」と西畑さん。きちんとした印象に、さりげない工夫を加えるのが、内勤向けファッションを楽しむコツだ。
(ライター ヨダ エリ)
[日本経済新聞夕刊2016年12月19日付]
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