迫る年賀状、アプリが味方 宛名読み込みや写真の挿入
新年まであと2週間余り。残った業務の片付け、取引先への挨拶回り、家の大掃除などに追われる師走の日々だが、年末最後の総仕上げの「アレ」を忘れてはいないだろうか。そう、年賀状の作成だ。
ただ、クリスマスもあれば忘年会もある楽しい年の瀬のさなか。年賀状は後回しにされがちだ。そんな忙しい人にオススメなのが年賀状の宛名からデザインの作成まで簡単にできるスマートフォン(スマホ)アプリだ。伝統的な和柄をはじめキャラクターを使ったものなどデザインも豊富。何よりも操作が楽チンで速くできるのが魅力だ。
デザイン700種類
年賀状作成アプリの中でもダントツの累計100万ダウンロード数を誇るのはCONNECTIT(コネクティット、東京・千代田)が配信する「スマホで年賀状」だ。アプリから自宅へ年賀状を郵送し、手書きのメッセージを加えたり、直接相手に届けたりすることもできる。女性のハートをつかむムーミンや温かみのある北欧風の絵柄などデザインの多さに定評がある。
同社がスマホ版アプリの配信を開始したのは2013年。飯野法志社長は「女性が好んで使ってもらえるよう、ターゲットを切り出している」と話し、「パソコン操作は苦手だが、忙しくて時間がないママや主婦の声に対応した」という。
絵柄選びは楽しくても、宛名の入力を面倒と思う人は多い。アプリを使えば、宛名の面をスマホのカメラでパシャリと撮影するだけでアプリが住所を読み込む。「無料で使えるが、独自システムでセキュリティーの面でも安心して使ってもらえる」(飯野社長)と言う。
紙に「あけましておめでとう」と書きスマホのカメラで撮影すれば、絵柄と手書きのメッセージを組み合わせられる。自分だけの年賀状を作ることができ、少しでも手書きにこだわりたいが時間がない人にお薦めだ。
デザインの種類は700種類。はがき代と印刷代で1枚あたり130円。注文枚数が増えると割引もあり、サンプル作成も無料でできる。注文者の自宅に年賀状を届ける場合、午後3時までに申し込めば翌日には出荷手続きを始める。スピード力も年賀状アプリ専業ならではだ。
SNS上の友達へ
年賀状の家庭用プリンターメーカーもアプリの配信に力を入れている。
キヤノンマーケティングジャパン(MJ)は今年、初めてスマホで年賀状を作成できるアプリ「PIXUS かんたん年賀状」を配信した。公衆無線LAN「Wi-Fi(ワイファイ)」を使えるプリンターを使うと、スマホから作った年賀状を自宅で即座にプリントできる。
カメラから宛名を読み込む機能はないが、スマホの連絡先機能と連動。スマホに住所を登録すると、プリンターに情報が送信され、宛名を印字できる。
絵柄は150種類で写真を入れられるデザインもある。キヤノンMJのインクジェット商品企画第一課の沢田創課長は「気軽に家で作れるようにすることで、年賀状の文化は残したい」と語る。
日本郵便は年賀状アプリ「はがきデザインキット」を配信する。300種類のデザインから選べる。アプリ以外に、住所が分からないSNS(交流サイト)上の友達にも年賀状を配達できるサービスを始めた。日本郵便が住所の分からない友達へ承認を取り、年賀状を送る仕組みだ。
2015年の年賀状の発行枚数は32億枚。03年の44億枚をピークに減少傾向にある。ただ、やはり1月1日にポストをのぞいて届く年賀状を見るのはうれしいものだ。アプリを活用して、今年こそはしばらく連絡を取っていない友達や親戚に1枚送ってみてはいかがだろうか。
(企業報道部 大西綾)
[日本経済新聞夕刊2016年12月15日付]
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