福島ぐるり、文化の秋 12市町でアニメ・コスプレ…

著名漫画家らに描いてもらった「ステカン(捨て看板)」。期間中は福島県小野町の文化施設で約60点を展示する(同県三春町の福島ガイナックス本社)
著名漫画家らに描いてもらった「ステカン(捨て看板)」。期間中は福島県小野町の文化施設で約60点を展示する(同県三春町の福島ガイナックス本社)

「日本一大きな文化祭」と銘打った文化イベントが11月3~6日、福島県で開かれる。県内各地で開催するアニメ上映やコスプレ撮影会、食に関する催しなどを通じて、福島の魅力を県外や海外に発信し、国内外からの集客にもつなげる。東日本大震災と東京電力福島第1原子力発電所事故による風評の払拭や、減少した観光客数の回復にも期待がかかる。

文化祭の名は「マジカル福島2016」。主催する実行委員会は、県やNPO法人、専門学校グループ、東北地方に本社を置く広告代理店や旅行会社など25者で構成する。アニメ企画・制作会社ガイナックス(東京都三鷹市)の子会社で、福島県三春町に本社を置く福島ガイナックスが中核を担う。

イベント会場となるのは福島や会津若松、郡山、いわき、白河、喜多方、二本松、田村、南相馬、伊達、三春、小野の12市町。「合計面積は約5664平方キロメートルにのぼり、文字どおり『日本最大』の文化祭」(実行委)というわけだ。

県内の周遊や滞在を促す仕組みも用意。期間中のバス乗り放題や、県内の店舗などで優待が受けられるチケットの発行、イベント情報やアニメの舞台(聖地)となった県内のスポットを紹介する観光アプリも配信する。

11月3日は会津若松市、4日はいわき市、5日は郡山市、6日は南相馬市といった具合に「地域プログラム」として各日ごとに中心会場となる地域を移していく。

会津若松市では自動車の車体に大きくアニメキャラクターの装飾をした「痛車(いたしゃ)」の展示会をはじめ、鶴ケ城で夜のコスプレ撮影会を開く。

いわき市ではスパリゾートハワイアンズで「常夏コスプレコンテスト」を開いたり、JRいわき駅前などで若手クリエーターの作品を展示したりする。複数の会場で福島ガイナックスが制作するアニメの上映や最新話の発表イベントも開く。

実行委事務局を務める福島ガイナックスの遠藤順之さん(26)は「SNSやネット動画中継サイトなどを活用し、幅広い年代にアピールする。元気で楽しい福島を広く発信して、『広域』『滞在』『三世代』の3つを軸に集客をはかる」と狙いを説明する。4日間でのべ約16万人の集客を見込む。

同社の得意分野を反映してイベントは一見、アニメやコスプレ関連が目立つ。だが広く自治体にも参加してもらおうと、県内の市町村に積極的に働き掛けた。プログラムの中には、幅広い年代層を呼び込めそうな各市町が主催するイベントや展覧会を、「マジカル福島」と連動させる形で取り込んだものも多い。

マジカル福島は震災・原発事故からの復興の後押しも大きな目的だ。沿岸部の経済復興策「福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想」を念頭に置いたイベントも組み入れる。

11月6日には南相馬市で、小型無人機(ドローン)のレース大会や、少年とロボットが組んで救助員をめざすアニメ「レスキューアカデミア」の制作発表など、ロボットに特化したプログラムを催す。

「レスキューアカデミア」は同構想に基づくロボット実証拠点が整備される同市が舞台。作品中に大堀相馬焼など地元の伝統工芸品も登場させ、同構想と市をPRする。

準備作業もいよいよ本格化してきた。各イベントの参加アーティストも近く発表する予定だ。実行委は「一過性のイベントで終わらせず、今後も毎年開催する方向で検討したい」と、息の長い取り組みにする考えだ。

(福島支局長 松本勇慈)

[日本経済新聞朝刊東北経済面2016年10月8日付]

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